【正式発表】物流大手AZ-COM丸和HD、JPYCに約10億円出資へ。円ステーブルコインで物流決済基盤構築

独自ウォレットや配送完了に連動する自動支払いも計画

物流大手AZ-COM(アズコム)丸和ホールディングスが、日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行元であるJPYC社と資本業務提携を行うことを決定した。両社が7月22日に発表した。

AZ-COM丸和HDは、東証プライム上場の物流グループ持株会社だ。ECのラストワンマイル配送や、食品・医薬品などの物流を包括的に請け負う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業を展開。2017年からアマゾンジャパンのEC商品の当日配送を手掛けている。

両社は今回、中長期的なデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略パートナーシップの構築に向け、資本提携および業務提携に関する覚書を締結した。

資本提携では、AZ-COM丸和HDがJPYC社のB1種優先株式11万6,000株を1株8,630円で引き受け、総額10億108万円を払い込む予定だ。払込期日および資本業務提携の開始日は7月30日を予定している。出資後のAZ-COM丸和HDの議決権保有比率は2.9%となる。なお、この比率には潜在株式を含まない。

また、提携前の両社の資本関係として、AZ-COM丸和HDの和佐見勝代表取締役社長が、JPYC社のB1種優先株式20万株を保有していることも開示された。

AZ-COM丸和HDは、業務委託ドライバーや従業員、取引先への支払いに伴う銀行振込手数料や処理時間を課題に挙げている。一般社団法人AZ-COMネットワークの会員企業は6月末時点で2,968社に上り、同社の物流サービス事業の拡大に伴って、多数の小口支払いが発生することも見込まれているという。

今回の提携を通じ、両社はJPYCを活用した社内外向けの決済プラットフォームを構築する。AZ-COMネットワークの会員企業や業務委託ドライバー、従業員、取引先への支払いで、銀行振込手数料の軽減や処理時間の短縮を目指す。将来的には、決済代行やインセンティブ配布など、外部企業向けサービスへの展開も計画している。

また、AZ-COM丸和HD独自のウォレットアプリを提供し、JPYCを用いたロイヤリティプログラムや即時報酬を付与するキャンペーンを低コストで実施できる仕組みを整えるとのこと。

さらに、GPSや証明書データによる配送完了確認とスマートコントラクトを連携させ、支払いを自動で実行する仕組みも構築する予定とのこと。請求書の照合や承認、振込処理などの手作業を削減し、事務コストや人的ミス、支払いの遅延を抑える狙いがある。

なおAZ-COM丸和HDによる決済プラットフォームや独自ウォレットの具体的な提供開始時期、JPYCによる支払いの対象件数は今回の発表では明らかにされていない。

JPYCは、JPYC社が2025年10月27日に発行を開始した日本円建てステーブルコイン。1JPYC=1円で発行・償還され、資金決済法上の「電子決済手段」に該当する。JPYC社は資金移動業者として登録を受けており、JPYCの裏付け資産は銀行預金と日本国債で構成される。発行・償還は専用プラットフォーム「JPYC EX」を通じて行われる。

参考:プレスリリースAZ-COM丸和HD
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。