トゥエンティ・ワン、ストライクとの統合構想は取りやめ

ストライクは独立企業として事業継続

ビットコインを主要資産として保有し、関連事業の展開を目指す米ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場企業トゥエンティ・ワン・キャピタル(Twenty One Capital)が、テザー(Tether)の投資部門テザー・インベストメンツ(Tether Investments)が4月に提案していた、ビットコイン金融サービス企業ストライク(Strike)との統合構想を取りやめることを7月21日に発表した。あわせて新たな最高経営責任者(CEO)の選任も発表されている。

テザー・インベストメンツは今年4月29日、トゥエンティ・ワンの事業領域拡大に向けた企業再編案を公表していた。

同案では、まずストライクをトゥエンティ・ワンへ統合し、その後ビットコインマイニング企業エレクトロン・エナジー(Elektron Energy)を追加統合する計画が示されていた。財務(トレジャリー)、マイニング、金融サービス、レンディング、資本市場機能などを一体化した、ビットコインネイティブのプラットフォームの構築を目指す内容だった。

なお、米紙「ブルームバーグ(Bloomberg)」は、この再編案について、ビットコイン保有(トレジャリー)、金融サービス、ビットコインマイニングの3事業を1社に集約する構想だったと説明している。同メディアは、この3事業を単一企業に統合する事例は暗号資産業界でも珍しいと指摘している。

今回の発表では、ストライクは独立企業として事業を継続し、トゥエンティ・ワンとの企業結合の検討対象から外れたことが明らかになった。一方で、エレクトロンとの企業結合については引き続き検討するとのこと。ストライクとの統合構想を取りやめた具体的な理由は明らかにされていない。

今回CEOに就任したラファエル・ザグリー(Raphael Zagury)氏は、エレクトロンに管理・運営サービスを提供するエレクトロン・エンタープライゼズ(Elektron Enterprises)の設立者兼CEOだ。就任日は7月20日付とのこと。一方、退任するジャック・マラーズ(Jack Mallers)氏は、自身が創業したストライクの次の成長段階に注力するため、7月20日付でトゥエンティ・ワンのCEOおよび取締役を退任した。両氏は円滑な経営移行に向けて協力している。

エレクトロンは、ビットコインマイニングおよびエネルギーインフラ事業を展開している。トゥエンティ・ワンは同事業について、世界最大級かつ最も効率性の高いビットコイン事業の一つと説明している。

トゥエンティ・ワンがエレクトロンの買収を進める場合、同取引は関連当事者取引に該当する。そのため、同社の関連当事者取引方針およびテキサス州事業組織法に基づく審査と承認が必要になる。同取引案は現時点で初期の検討段階にあり、最終契約の締結や取引の承認、完了は保証されていないとのこと。

また、ザグリー氏は新たな経営方針について、トゥエンティ・ワンは公開市場で最大級のビットコイン保有残高を持つ一方、自身の役割は、そのビットコイン保有残高を基盤とした事業会社を構築することだと説明した。そのうえで、機関水準の規律、ガバナンス、実行力を備えた企業を構築し、ビットコインの保有量だけでなく、事業が生み出すキャッシュフローと規律ある資本配分を重視する方針を示した。

さらに、同社は新たな戦略的優先事項として、「企業構造・ガバナンスの整備」、「事業会社の構築・買収」、「資本市場機能の拡大」、「規律あるM&A」、「ビットコインネイティブな融資・クレジットプラットフォームの構築」の5項目を掲げた。

同社は、長期資本と規律ある再投資を基盤に事業を長期的に保有・育成する方針も示した。また、この長期保有モデルはバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)に着想を得たものだと説明している。

参考:プレスリリースブルームバーグ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。