ペイパルの「PYUSD」、ポリゴンでネイティブ発行。対応チェーンは5例目に

Open Money Stackで企業の国際決済に活用へ

米決済大手ペイパル(PayPal)の米ドル建てステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」が、ポリゴンチェーン(Polygon Chain)上でネイティブ発行が開始された。ポリゴンラボ(Polygon Labs)が7月9日に発表した。発行はパクソス(Paxos)が担い、企業向け決済基盤「ポリゴン・オープン・マネー・スタック(Polygon Open Money Stack:OMS)」を通じて利用できるという。

PYUSDは2023年8月にイーサリアム(Ethereum)上でローンチされ、その後ソラナ(Solana)、アービトラム(Arbitrum)、ステラ(Stellar)へ展開された。今回のポリゴンチェーンへの対応により、同ステーブルコインのネイティブ発行先は5チェーンとなった。

OMSは、ステーブルコインを利用した入金や支払いに必要なウォレット、法定通貨との交換、コンプライアンス対応、クロスチェーンルーティングなど、複数の機能を一つのスタックにまとめる企業向け基盤だ。なおOMSは現在、早期アクセスを受け付けており、複数の構成機能はすでに稼働している一方、ステーブルコイン・オーケストレーションやKYCハブなど一部機能は提供予定とされている。

従来、企業が決済サービスへステーブルコインを導入する際には、トークン、入金・支払い機能、コンプライアンス関連ツールをそれぞれ異なる事業者から導入し、それらを接続する必要があった。ポリゴンラボによるとOMSでは、これらの機能を単一のシステム連携で利用できるという。

今回の対応により企業は、カードや銀行口座、暗号資産(仮想通貨)取引所の残高から資金を受け入れ、PYUSDを保有して国境を越えて移転し、受取先で現地通貨へ換金するまでの処理を、一つのシステム連携で行えるようになるとのこと。

すでにポリゴンチェーン上で決済を処理している企業は、現在利用するウォレット、法定通貨と暗号資産を交換するオン・オフランプ、コンプライアンス関連ツールを引き続き利用しながら、PYUSDへアクセスできるという。

想定される用途には、複数国で働く業務委託先への報酬支払い、海外の出店者へ売上代金を精算するマーケットプレイス、新興国向けの国際送金サービスなどが挙げられている。

受取人側にとっても、支払いの迅速化や取引失敗の減少、コルレス銀行を介した国際送金で発生する遅延や手数料の削減といった利点があるとしている。

ポリゴンラボによると、ポリゴンチェーンでは1日あたり25億ドル(約4,042億円)超、累計で2兆6,000億ドル(約420.4兆円)超のステーブルコイン取引が清算されているという。

PYUSDは、米通貨監督庁(OCC)の監督下にある全米信託銀行免許に基づき、パクソスが発行している。準備資産は米ドル預金や米国債、現金同等物で構成され、米ドルと1対1で償還できる設計となっている。

ポリゴンラボCEOのマーク・ボワロン(Marc Boiron)氏は、PYUSDをOMSへネイティブに統合することで、企業が一つのシステム連携を通じて資金の受け入れ、国際移転、現地通貨への換金を行えるようになると説明した。

またパクソスの最高収益責任者(CRO)ピーター・ジョナス(Peter Jonas)氏は、ポリゴンチェーンへのネイティブ対応により、米連邦レベルの規制監督下にあるドル担保型ステーブルコインが、ステーブルコイン決済で活発に利用されるネットワークの一つで利用可能になると述べている。

参考:ポリゴン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。