暗号資産取引所HTX、WLFI発行USD1を上場廃止。アドレス凍結巡り対立

WLFIによるアドレス凍結受け、HTXがUSD1上場廃止

暗号資産(仮想通貨)取引所HTXが、ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)によるHTX関連の特定オンチェーンアドレス凍結を理由として、WLFI発行のステーブルコイン「USD1」の上場廃止を6月6日に発表した。

発表によると、USD1は6月7日3:00(UTC)日本時間同日12:00に上場廃止となり、対象となるユーザー保有分は1:1の比率でUSDTへ転換される。転換後のUSDTはユーザーの現物口座へ付与されるという。

HTXは今回の措置について、WLFIチームが制裁コンプライアンス審査を理由に、HTXに関連する特定のオンチェーンアドレスを凍結したことを受けた対応だと説明している。HTXはWLFIによる一方的な凍結措置に反発し、ユーザー資産の保護や市場の公平性維持を理由としてUSD1の取扱停止を決定したとのことだ。

またHTXは6月5日付ですでに「WLFI/USDT」、「USD1/USDT」、「BTC/USD1」、「ETH/USD1」の取引停止も実施している。

HTXは声明の中で、WLFIから凍結措置の法的根拠や適用範囲、解除プロセスについて十分な説明を受けていないとして、同社に対し凍結解除を求めている。またHTX側は、凍結対象となった資産について「制裁対象者の資産ではなく、個人ユーザーが合法的に購入・保有している資産だ」と主張している。

今回のHTXに対する凍結措置の詳細な理由について、WLFIは現時点で確認できる公開情報上、個別の説明を行っていない。

ただしWLFIは6月3日、自身のXアカウントで、制裁コンプライアンス体制を維持しており、制裁対象者が関与する取引については制限やブロックを行う可能性があると説明していた。

また英国政府は5月26日、「フオビ・グローバルS.A.(HUOBI GLOBAL S.A.)」を対ロシア制裁対象に指定している。英政府は同社について、ロシア関連企業A7リミテッド・ライアビリティ(A7 LIMITED LIABILITY)およびガランテックス・ヨーロッパ(Garantex Europe)に対して金融サービスや資金提供を行ったと疑う合理的な根拠があるとしている。

これに対しHTXは、制裁対象となったフオビ・グローバルS.A.は現在のHTX取引所運営主体とは別法人であり、制裁措置はHTXの運営やユーザー資産に影響しないとの見解を示している。

なお、今回の事案は、トークン発行体による資産凍結権限を巡る議論を改めて浮き彫りにしている。

WLFIは2025年9月にも、トロン(TRON)創設者ジャスティン・サン(Justin Sun)氏のWLFIトークン保有ウォレットをブラックリスト化したと報じられている。同氏は当時、WLFIが投資家の資産を一方的に凍結できる機能を備えていると批判し、その後2026年4月にはWLFIを提訴するなど、法的対立に発展している。WLFIはこうした権限について、悪意ある活動や高リスクな取引からコミュニティを保護するための措置だと説明していた。

HTXは、旧フオビ(Huobi)として知られる取引所だ。なおWLFIが2025年9月にウォレットを凍結したジャスティン・サン氏は、同取引所のアドバイザーとしても知られる。

 

参考:HTXFCAGOV.UK
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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