DeFi「アーベV4」、コードライセンス枠組み提案。DAO所有とBUSL採用へ

アーベ主要開発会社がアーベ4のコード管理ルールを整理

分散型金融(DeFi)プロトコルのアーベ(Aave)の開発を主導するアーベラボ(Aave Labs)が、次期プロトコル「アーベV4(Aave V4)」のコードライセンスに関する新たな枠組み案を3月10日に提案した。提案はアーベDAO(Aave DAO)のガバナンスフォーラムで公開された。

今回の提案は、アーベラボが主導して開発を進めるV4のコードについて、アーベDAOへの帰属と将来的なIP移管の枠組みを整理したうえで、一定期間の本番利用などを制限するルールを設けて公開する仕組みを整理するものだ。これにより、コミュニティからのコード貢献を受け入れつつ、リポジトリ全体の権利関係を明確化する狙いがあるという。

提案では、V4の公式コードリポジトリに対し、2つのライセンス制度を導入する方針が示されている。具体的には、コアコードに対してビジネスソースライセンス(BUSL)を適用し、さらにコードへの貢献者にはコントリビューターライセンス契約(Contributor License Agreement:CLA)への同意を求める仕組みを導入するという。

BUSLは、一定期間コードの本番環境での利用を制限し、その後自動的にオープンソースライセンスへ移行する仕組みのライセンスだ。今回の提案では、アーベV4のイーサリアム(Ethereum)メインネット展開日から5年以内、またはそれ以前にガバナンスが定める日にMITライセンスへ移行する案とされている。なおBUSLは、ユニスワップv4(Uniswap v4)など他のプロトコルでも採用されているライセンス形態だ。

またCLAは、開発者がコードを提供する際、著作権を保持したまま、そのコードを正規リポジトリに組み込み、利用・再許諾できる権利を付与する契約を指す。

また提案では、アーベDAOがV4の公式コードベースおよび関連する知的財産の所有者であるとの整理も示されている。開発段階では、アーベラボがアーベDAOを代表する形で著作権やライセンス管理を担ってきたが、今後のガバナンス手続きを経てIP移管と正規リポジトリ移行を実行する流れが想定されているという。

さらに、V4ではコミュニティや外部開発者による貢献が増えることを想定し、CLAの導入が提案されている。CLAでは、貢献者がコードの権利を手放すことなく、アーベDAO側がそのコードを正規コードベースの一部として利用できるようにする仕組みとなる。これにより、コードの権利関係を明確化し、リポジトリ全体のライセンス整合性を保つ狙いがあるとのこと。

今回の提案は、コミュニティから意見を募る「テンポラリーチェック(TEMP CHECK)」段階として公開されている。今後コミュニティの合意が得られた場合、スナップショット投票などのガバナンス手続きを経て正式提案へ進む見通しだ。

なおアーベを巡っては、DAOのガバナンス体制やプロトコル運営のあり方を巡る議論も続いている。3月には、アーベDAOのガバナンス運営を支援してきた組織「アーベ・チャン・イニシアティブ(Aave Chan Initiative:ACI)」が同DAOからの離脱を発表している。また2月にはアーベV3(Aave V3)の開発および保守を担ってきた開発チームBGDラボもDAOとの契約更新を行わない方針を表明している。

ACIやBGDラボは離脱の理由について、それぞれアーベラボを含むDAOのガバナンス構造やDAO内での意思決定のあり方に懸念を示している。ACIは、提案によって資金の受け手となる主体が投票にも影響力を持つ状況では、DAOの独立したサービスプロバイダーとして活動を続けることが難しいと主張していた。BGDラボも、アーベラボがブランド、コミュニケーションチャネル、投票力で強い立場にあることを問題視している。

今回のV4のライセンス提案では、V4正規コードベースへのBUSL適用、CLA導入、IP移管、正規リポジトリ移行の手順が示されている。

 

参考:ガバナンスページユニスワップ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。