米ドルステーブルコイン、世界決済システムを不安定化させる恐れ=欧州資産運用アムンディ幹部

米ステーブルコインが世界決済システムを不安定化させる恐れ

米議会上院が先月可決したドル連動型のステーブルコインの規制枠組み案「ジーニアス(GENIUS)法」について、欧州最大の資産運用会社、アムンディ・アセット・マネジメント(Amundi Asset Management)のバンサン・モルティエ(Vincent Mortier)CIO(最高投資責任者)は、ドルのステーブルコインが普及すれば「世界の決済システムが不安定化しかねない」との懸念を示した。

「ジーニアス法」は今後下院を通過し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が承認する見通し。他の国々は、自国民がドルのステーブルコインを購入すれば経済の「ドル化」を招きかねないと懸念している。

モルティエ氏はロイターに対し、「ジーニアス法」は「ジーニアス(天才的)かもしれないし、邪悪かもしれない」と懸念を口にした。

JPモルガン(JPMorgan)の予想では、ステーブルコインの流通量は今後数年で倍増して5,000億ドル(約72.5兆円)に達する見通し。一部では2兆ドル(約290兆円)に上るとの推計もある。

ステーブルコインはドル資産の裏付けが必要なため、米国債の購入につながるとみられる。財政赤字に悩む米国にとっては恩恵となる一方、国内外で問題も引き起こす恐れがある。

モルティエ氏は「ドルの代替通貨が生まれ、ドルはさらに下落しかねない。国がステーブルコインを推進すれば、ドルがさほど強くないというメッセージになるからだ」と語った。

同氏はまた、人々はいつでも引き出せると想定して資金をステーブルコインに預けるようになり、ステーブルコインが「準銀行」と化す可能性もあると指摘した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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画像:Reuters

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