英中銀と規制当局、ステーブルコイン規制案を発表

BoEとFCAがステーブルコイン規制案を発表

英国の中央銀行であるイングランド銀行(BoE)と金融行動監視機構(FCA)が、ステーブルコイン規制に関するディスカッションペーパーへのフィードバックを求めている。BoEのウェブサイトにて11月6日発表された。

このディスカッションペーパーは、ステーブルコインを扱うシステミック決済システム及びサービスプロバイダーに対する規制枠組み案についてまとめられたものだ。

なお同文書は2つに分かれており、1つはBoEからのもの、もう1つはFCAからのものとなっている。

BoEからの文書では、ステーブルコインを利用するシステミック(全体的な)決済システムの運営者やステーブルコインの発行者、ウォレットプロバイダーらを英中銀が規制する意向が記された。BoEの金融安定化担当副総裁であるサラ・ブリーデン(Sarah Breeden)氏は「私たちの提案は、企業が管理すべきリスクを理解し、国民があらゆる形態のデジタルマネーと決済に自信を持てるように、安全なイノベーションの支援を目的としている」と述べている。

またBoEは同文書にて、金融の安定性に対する潜在的なリスクの観点からステーブルコイン規制が必要だと指摘。文書では「(ステーブルコインが)英国でリテール決済に広く利用されれば、ステーブルコインを使った決済システムは金融の安定性にリスクをもたらす可能性がある」と述べられている。

そしてFCAからの文書では、ステーブルコインの発行と保有に関する規制案が検討された。FCAの消費者・競争担当エグゼクティブ・ディレクターのシェルドン・ミルズ(Sheldon Mills)氏は「ステーブルコインは、すべての人にとって支払いをより迅速かつ安価にする可能性を秘めている」と述べ、英規制当局がフィードバックを求める理由については「消費者と企業に利益をもたらし、かつ私たちの目的にも合致するような」公平なルールを作るためだと述べている。

またBoEによれば同文書は、新体制開発へ向けた探索的段階であるため、提案について利害関係者からのフィードバックを受けた後、規制当局が最終的なルールの協議に入るという。

なお同文書へのフィードバックは、2024年2月6日まで受け付けているとのことだ。

ステーブルコイン規制はFCAの権限下に

英国政府は10月30日、暗号資産(仮想通貨)及びステーブルコイン規制に関する最終提案を発表。

同提案では、暗号資産活動を行う企業は今後、FCAの認可を受ける必要があるとされている。

また財務省が別途提出した「ステーブルコイン規制の計画に関する最新情報報告書」によると、同省は2024年に具体的な法案を議会に提出し、法定通貨を裏付けとするステーブルコインの規制をFCAの権限下に置く意向だという。

ステーブルコインの発行・保管は、金融サービス向けに設計された既存ルールの下で規制されることになるとのことだ。

また英財務省が8月に公開したコンサルテーションペーパーにて、システミックなステーブルコインをBoEが主導し、金融行動監視機構(FCA)によって監督されることが提案された。

同コンサルテーションペーパーの回答者である、米決済大手アメリカンエクスプレス(American Express)、米ドルペッグのステーブルコインを発行するサークル(Circle)、英国大手銀行HSBC UK、米決済大手ペイパル(PayPal)、米決済大手ビザヨーロッパ(VISA Europe)らはこれを歓迎していた。

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参考:BoE
images:iStoks/Wayne-Marinovich

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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