ステートレスzkRollup「Intmax」、ウォレットレス・ウォレット発表

Intmaxがウォレットレス・ウォレット発表

ステートレスzkRollupプロジェクト「Intmax(イントマックス)」を開発するRyodan Systems(リョダンシステムズ)が、「INTMAX Walletless Wallet(イントマックス・ウォレットレス・ウォレット)」の提供開始を9月29日発表した。

なお「Intmax」は、日本人起業家の日置玲於奈氏および藤本真衣氏がCo-Founderを務めるプロジェクト。

発表によると「INTMAX Walletless Wallet」は、生体認証と最新の暗号技術であるMPCを活用することにより、強化されたセキュリティを提供するウォレットとのこと。バックエンド(サーバー側の処理)ではマルチシグ(トランザクション署名に複数の秘密鍵を必要とするセキュリティ技術)と同じセキュリティが提供できるという。さらに生体認証によってシームレスにアクセスも可能だという。

また同ウォレットは、ユーザーのEmailアドレスさえあれば、アプリや拡張機能のダウンロードが可能であり、また12-24個の英単語からなるシードフレーズを覚える手間なしに、簡単で安全な暗号資産取引を始められるのが特徴とのことだ。

また「INTMAX Walletless Wallet」は、モバイル端末やパソコン等、様々なデバイスやブラウザから利用できるよう設計されているとのこと。他にも、送信者が受信者にリンクを送信するだけで取引を簡単に実行でき、かつ受信者のアドレスを知る必要がなくなる「リンク送金機能」が近日に導入されるという。

同ウォレットはリリース段階で、Ethereum Mainet(イーサリアムメインネット)、Polygon(ポリゴン)、Optimism(オプティミズム)、Arbitrum(アービトラム)をサポートしており、今後は他のレイヤー2も追加対応する予定とのことだ。

発表によると「INTMAX Walletless Wallet」は、イーサリアムのレイヤー2全体を強力に推し進めることで暗号資産の世界を変革することを目指し開発されたという。リリースにて日置氏は「当社のウォレットレス・ウォレットは単なるストレージソリューションではありません。イーサリアムレイヤー2の基盤となるプロダクトです」と述べている。

さらに今後は、リョダンシステムズ開発のzkRollup Layer2プロトコルである「INTMAX zkRollup」に「INTMAX Walletless Wallet」が組み合わせることで、ほぼゼロに近いガスコスト(取引手数料)で取引が可能になることが想定されているという。

ステートレスzkRollupプロジェクト「Intmax」とは

zkRollup(zkロールアップ)とは、暗号技術を利用した証明技術「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)」活用のロールアップのこと。ロールアップは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。

「Intmax」はこのzkRollupを、バリデーターがデータを保持しない(1回のやり取りで状態が初期化する)「ステートレス」な形で提供する。これは基本的な合意レベルで処理を並列化するシーケンサー(シーケンス:順番を制御するコントローラー)の分散化が可能になることや、ユーザーが自らデータを保持できることが大きなメリットとして挙げられるとのこと。

「Intmax」は、その「ステートレス」という特徴を活かして、データの利用効率・シーケンサーの分散化・相互運用性・プライバシーなど、レイヤー2に残る多くの問題を解決するとのことだ。

関連ニュース

デザイン:一本寿和
images:iStocks/Vjom

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【5/17話題】スラッシュがSlash Vプリカ SHOP開始、SECのSAB121覆す決議案が可決など

スラッシュが「Slash Vプリカ SHOP」開始、暗号資産でVプリカ購入可能に、米上院、SECの暗号資産会計ルール「SAB121」を覆す決議案を可決、インド証券取引委員会、暗号資産取引の監督に前向き、準備銀行とは対照的に、仏証券監督当局、投資家にBybitの無登録営業を警告、KuCoin、ナイジェリアの規制準拠に向け一部サービスを停止、米CME、ビットコイン現物取引の提供検討か=報道、リップル、「XRP Ledger」をコスモスのインターチェーンに接続、マスターカードがカーボンクレジットのトークン化における概念実証完了、スタンダードチャータード銀行らと、DTCC、大手銀行らとファンドのトークン化推進する「Smart NAV」の実証実験完了。チェーンリンク活用で