仏と独の規制当局ら、サム・アルトマンらの「Worldcoin」を調査か=報道

CNILらがワールドコインを調査

ワールドコイン(Worldcoin)が、フランスのデータ保護機関(CNIL)より調査されているようだ。CNILの広報担当者の声明をまとめる形で各社が7月28日報じている。

報道によれば、CNILは、ワールドコインのデータ収集の合法性を疑わしいと考えているとのこと。なお同調査は、ドイツのバイエルン州のプライバシー規制当局が監督権をもつという。

プライバシーリスクが叫ばれていた

ワールドコインは、プライバシーのリスクがあるとの批判にさらされている。2021年にプロジェクトを紹介したアルトマン氏のツイートに対し、元米情報機関契約者のエドワード・スノーデン(Edward Joseph Snowden)氏は「目玉をカタログ化するな」とつぶやいている。

7月25日には、英国のデータ規制機関の情報コミッショナーズ・オフィス(ICO)が「ワールドコイン」を調査すると発表していた。

また24日には、Ethereum(イーサリアム)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がワールドコインのプロジェクト設計について、「プライバシー」、「アクセシビリティ(アクセスのしやすさ)」、「中央集権性」、「セキュリティ」の4つの重大なリスクがあると述べていた。

なお「プライバシー」に関する懸念として、「Worldcoin」で虹彩をスキャンすることでその人物が「Worldcoin」のシステム内に存在するかどうかを調べられるなど、虹彩情報以外の意図した以上の情報(システム内に存在する情報)が漏洩する可能性があることをヴィタリック氏は主張している。

ワールドコインとは

「ワールドコイン」は、AIチャットボットサービス「ChatGPT」などの人工知能で知られるOpenAIの創業者サム・アルトマン氏が、物理学者のアレックス・ブラニア(Alex Blania)氏と共に開発を進めるプロジェクト。

「ワールドコイン」は「オーブ(Orb)」と呼ばれるボール状のデバイスで網膜をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別する「World ID」を発行する。現在このスキャンは無料ででき、スキャンしたユーザーは現在無料の暗号資産「Worldcoin(WLD)」を受け取れる。この「WLD」の配布により、ベーシックインカム実現も計画されているという。

「ワールドコイン」は今月20日、システムの主要部分をポリゴン(Polygon)ネットワークからイーサリアムレイヤー2ネットワークの「オプティミズム(Optimism)」メインネット上へ移行したことを発表。その後24日に「WLD」を正式ローンチし、それに伴いHuobi(フォビ)やBybit(バイビット)、OKX、Binance(バイナンス)といった海外暗号資産取引所でも「WLD」が上場している。

「ワールドコイン」は7月24日、200万人のユーザー獲得を報告。同プロジェクトは20カ国で虹彩のスキャン業務を拡大したという。

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デザイン:一本寿和
images:iStocks/Robert-Way

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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