EU議会、スマートコントラクトを規制するデータ法を可決

スマートコントラクト規制法案が可決

EU(欧州連合)議会が、「データ法」に基づく法案を3月14日可決した。もしこの「データ法」が施行されれば、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行するプロトコル「スマートコントラクト」がEUで規制対象となる可能性がある。なお同法案は賛成が500票、反対が23票を獲得した。なお110人は投票しなかったという。今後「データ法」が最終的に可決されるには、欧州議会、欧州委員会、各州を代表する欧州理事会の3者間交渉を経なければならないとのことだ。

今回焦点となっている「スマートコントラクト」に関する規定は、データ法第30条の「データ共有のためのスマートコントラクトに関する必須要件」に該当する。

条項では、「スマートコントラクト」の必須要項として、「厳格なアクセス制御メカニズム」「機能エラーを回避した高度な堅牢性」を設計に組み込むことや「企業秘密の保護」に加え、「取引メカニズムを終了させたり中断させたりできる内部機能を搭載」することが挙げられてる。

ただし、どのような条件で適用されるのかなどは明確に定義されていない。

明確な定義がされないまま、この法案が施行されると、スマートコントラクトがインフラとなっているDeFi(分散型金融)など、暗号資産業界に広範囲の影響を及ぼす可能性があるという声が上がっている。

3月14日の議会会議にて中道右派の欧州議会議員ピラール・デル・カスティーヨ・ベラ(Pilar del Castillo Vera)氏は、「(データ法が施行されれば)既存のビジネスモデルやプロセスの最適化に貢献し、新しいビジネスモデルの開発を後押しし、それによって新しい価値と雇用を生み出す」と述べている。

データ法は欧州委員会(European Commission)が2022年2月に提案した法案だ。2020年2月に発表されたEUデータ戦略の一部であり、同法案の目的は、人間や機械が生み出すデータ量の大幅な増加をよりよく活用し、データ共有全般に対する信頼を高め、相反する経済的インセンティブを緩和し、データ駆動型イノベーションを妨げる技術的障害を克服することにあるという。

なおEUでは昨年10月、欧州理事会にて暗号資産市場規制法案(MiCA)が可決。MiCAは、EU(欧州連合)の暗号資産サービスプロバイダーに向けて包括的な暗号資産市場規制を示す法案である。

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参考:データ法
デザイン:一本寿和

images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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