ファイルコイン財団、宇宙で分散型ファイルストレージ「IPFS」テストへ

ファイルコイン財団が宇宙で「IPFS」テストへ

ファイルコイン財団(Filecoin Foundation)が、分散型ファイルストレージネットワーク「IPFS(InterPlanetary File System)」を宇宙で展開する計画について1月17日発表した。

発表によると同計画における初のミッションは、2023年中に米航空宇宙技術会社ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)の衛星プラットフォーム(バス)「LM 400 Technology Demonstrator」を利用して実施すると発表されている。

ファイルコイン財団とロッキード・マーティンは昨年5月に「IPFS」を宇宙で展開する計画の開始を発表していた。この計画は長距離のデータ転送速度向上を目的に、より優れた惑星間通信とデータ転送を「IPFS」が可能にする方法についてのユースケースをつくるものとなっている。

ファイルコイン財団は、暗号資産(仮想通貨)を利用した分散型ストレージネットワークである「ファイルコイン」のエコシステムとコミュニティの成長を支援する団体だ。なお「IPFS」は「ファイルコイン」の基盤技術であり、両技術共にプロトコルラボ(Protocol Labs)が開発を行っている。 

現在のインターネットで使われる「HTTP」は中央集権的な「ロケーション指向型」で、URLによってコンテンツの「場所」を指定している。一方「IPFS」ではネットワーク上のノードが分散してデータを管理する「コンテンツ指向型」であり、情報の「場所」を指定するのではなく、情報の「内容」を指定してアクセスしている。

この「IPFS」は当初から「惑星間の距離を越えてネットワークを構築する技術」として構想されていたという。

今回の計画では、宇宙からのデータは「IPFS」を使って「コンテンツアドレス化」され、一度地上局を経由して宇宙の「IPFS」ネットワーク上から利用できるようになるという。「IPFS」を利用するアプリケーションは、データを保持している特定の地上局の位置を知らなくとも、宇宙にある「IPFS」ネットワークからデータを取得できるようになるとのこと。

ファイルコイン財団の会長であるマーサ・ベルチャー(Marta Belcher)氏はリリースにて「今日の中央集権的なインターネットモデルは宇宙では機能しません。例えば、あなたが月にいて、地球からデータを取得するとします。そのデータを取得するたびに数秒の遅延が発生します。『IPFS』ではクリックするたびに地球とデータをやり取りする必要はないのです」と述べている。

 さらに同氏は「なぜならそれは、『IPFS』ではデータが『どこ』にあるかではなく、何があるかというデータの『内容』で識別されるからです。コンテンツを探すとき、各コンテンツはそれぞれ固有の『コンテンツID』を持っており、あるコンテンツを探したときに常に特定のサーバーから取得するのではなく、最も近いところから取得します。つまり月の近くの誰かがすでにそのデータを取得していれば、クリックするたびに地球と行き来するのではなく、短い距離だけ移動して、すぐにあなたの元に届くのです」と説明している。

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参考:ファイルコイン財団
デザイン:一本寿和
images:iStocks/StationaryTraveller

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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