フィリピンで「Freeport」衛星通信サービス展開へ
衛星通信インフラ企業スペースネットワーク(Space Network)が、フィリピンのインフラ企業HQカンパニー・インターナショナル・ホールディングス(HQ Company International Holdings:HQ Company)と、5,000万ドル(約78億5,200万円)規模の衛星通信サービスに関する拘束力のある事前注文契約を締結したと9月29日に発表した。
今回の契約では、スペースネットワークが開発する低軌道(LEO)衛星ネットワーク「フリーポート(Freeport)」をフィリピンで展開するという。スペースネットワークがネットワークへのアクセスやハードウェア、独自ソフトウェア、継続的な技術支援を提供し、HQカンパニーが現地での販売や顧客獲得、周波数利用に関する認可取得、サービス運営を担う。
フィリピンは7,000を超える島々で構成される。HQカンパニーCEOのヨンス・サミュエル・チョ(Yongsoo Samuel Cho)氏は、同国ではすべての地域に通信インフラを届けることが課題だと説明している。
フリーポートは、スペースネットワークが構築、打ち上げ、運用するLEO衛星ネットワークだ。LEO衛星は、地球に比較的近い軌道を周回する人工衛星を指す。スペースネットワークは現在4基のLEO衛星を運用しており、2029年の商用サービス開始までにフリーポートの衛星群を約230基へ拡大する計画だ。
フリーポートでは、現地の通信事業者が独自の衛星網を構築することなく、サービスを提供する地域の通信容量を購入し、そのネットワーク上で自社の通信サービスを運営できる。また、スペースネットワーク以外が所有する衛星や地上局もネットワークに参加できる。参加者は互いのデータ通信を中継し、その対価を受け取れる仕組みとなる。新たな事業者が参加することで、他の参加者が利用できる通信範囲や容量も拡大する構想だ。
スペースネットワークは、ブロックチェーンとLEO衛星技術を組み合わせたWeb3プロジェクト「スペースコイン(Spacecoin)」にも取り組んでいる。スペースネットワークが衛星や地上局などを接続する通信インフラを構築する一方、スペースコインでは、ネットワーク内の衛星によるデータ中継サービスの支払いにネイティブトークン「SPACE」を利用する設計となっている。
スペースコインは、オープンかつ分散型の物理インフラネットワーク(DePIN)の構築を目指している。DePINは、通信設備などの物理インフラを複数の参加者によって構築・運営し、その利用や報酬の管理にブロックチェーンを活用する仕組みだ。スペースネットワークによると、ネットワークでは各中継地点が実際に伝送したデータに署名する。その実績に応じた対価は、ブロックチェーン上のコントラクトを通じて支払われるとのことだ。
今回の契約は、スペースネットワークが今年6月にベトナムのDETIテクノロジー(DETI Technology)と締結した提携に続くものだ。スペースネットワークは今回の発表で、ベトナムでの契約を1億ドル(約157億400万円)規模とし、フィリピンでの契約を含む商用サービスの事前注文額が合計1億5,000万ドル(約235億5,600万円)になったと説明している。
— Spacecoin™ 🛰️ (@spacecoin) September 29, 2026
画像:PIXTA