GMOあおぞらネット銀行ら、トークン化預金の銀行間決済を実証へ。全国約40行が参加=報道

全国約40行、トークン化預金の銀行間決済を実証へ

GMOあおぞらネット銀行とアビームコンサルティング(ABeam Consulting)、DCP(旧ディーカレットDCP)が、トークン化預金を活用した銀行間決済の実証を8月中にも開始すると、「日本経済新聞」が8月25日に報じた。

トークン化預金とは、銀行預金をブロックチェーン(分散型台帳)で扱えるトークンとして表現したものだ。3社は、異なる銀行の顧客間でトークン化預金を送金した際に生じる銀行間決済をブロックチェーンで行い、24時間365日の即時決済を可能にするインフラの構築を目指す。

日経によると、りそな銀行や商工組合中央金庫(商工中金)、横浜銀行など、オブザーバーを含めて約40行が参加するとのこと。ディーカレットDCPは2027年度の実用化を目指すという。なお、8月中にも開始すること、約40行という参加規模、りそな銀行や商工中金、横浜銀行などの参加、2027年度の実用化目標については、現時点で確認できる公開一次情報では明らかにされていない。

今回の実証は、GMOあおぞらネット銀行、当時のディーカレットDCP(現DCP)、アビームコンサルティングの3社が今年4月に共同発表していた取り組みを具体化するものだ。同取り組みは4月3日、金融庁の「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト」の支援案件に決定された。金融庁が示した想定期間は今年4月から当面の間となっている。3社の共同発表では、北陸銀行のほか複数の銀行が参加するとされていた。

現在の国内の他行宛て振込では、全銀システムを介して振込情報を銀行間でやり取りする。銀行間で生じる債権・債務は、1億円未満の取引では原則として1日1回の時点ネット決済で清算し、各行が日銀に保有する当座預金を振り替えて最終決済する。1億円以上の取引は、日銀ネットのRTGS(即時グロス決済)で取引ごとに決済される。

今回の実証では、民間銀行1行を幹事行とし、トークン化預金による顧客間送金と幹事行内での銀行間決済を同時に行う「TD幹事行方式」と、銀行間決済にステーブルコインを利用する「TD-SC連携方式」を検証する。金融庁によると、銀行同士が互いに開設した預金口座を利用する方式と、ステーブルコインを利用する方式が検証対象になるとのことだ。

国内ではすでに、ゆうちょ銀行やほくほくフィナンシャルグループ(Hokuhoku Financial Group)傘下の北陸銀行などが、トークン化預金の取り扱いや商用化に向けた取り組みを進めている。今後、企業間決済や給与振り込みなどで利用が広がれば、異なる銀行の顧客間でもトークン化預金を送金できる仕組みが必要になる。今回の実証は、こうした利用拡大を見据え、銀行をまたぐ決済インフラの構築を目指すものだ。

トークン化預金は、法定通貨などの資産を裏付けとして発行されるステーブルコインとは異なり、銀行預金をトークン化したものとなる。このため日経は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策など、既存の銀行預金に適用される規制を応用しやすい利点があると説明している。

また日経は、銀行側には次世代の決済インフラ構築を主導することで、自行からの預金流出を防ぎたい思惑もあると伝えている。世界のステーブルコイン市場は約3,000億ドル(約47.7兆円)規模に達しており、その大半を米ドル建てが占めている。

また日本では、預金や証券などをブロックチェーンで取引する「オンチェーン金融」で米国が先行している。国内企業では、三菱商事が今年3月、米金融大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)のブロックチェーン基盤「キネクシス(Kinexys)」を採用。シンガポール、ロンドン、ニューヨークのグループ拠点間で、米ドル資金を24時間ほぼリアルタイムで移動できる仕組みを導入している。

日経はこうした状況を踏まえ、日本がオンチェーン金融で米国に後れを取っていると指摘している。

参考:日経新聞
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。