ストラテジーが1,690BTC売却、STRC買い戻しに約173億円。USDリザーブ46.5億ドルへ

BTC売却代金でSTRC買い戻し

米ナスダック上場のビットコイントレジャリー企業ストラテジー(Strategy)が、8月3日から9日に保有ビットコイン1,690BTCを売却し、売却による純手取額1億860万ドル(約173億円)を同社の優先株「STRC」の買い戻しに充当したと、米証券取引委員会(SEC)への提出書類「フォーム8-K(Form 8-K)」で8月10日に開示した。

ストラテジーは8月3日から9日にかけて、1,690BTCを平均6万4,262ドル(約1,024万円)で売却した。これにより、8月9日時点のBTC保有量は84万447BTCとなった。取得総額は633億6,000万ドル(約10.10兆円)、平均取得価格は1BTCあたり7万5,385ドル(約1,201万円)となっている。

また同社は、デジタル・クレジット証券買い戻しプログラムに基づき、変動配当型永久優先株「STRC」を115万2,020株、総額1億860万ドル(約173億円)で買い戻した。BTC売却による純手取額は、STRCの買い戻し資金に充当されたとのこと。STRF、STRK、STRDの各優先株およびクラスA普通株「MSTR」の買い戻しは実施していない。

STRCは、ストラテジーが資金調達に活用する変動配当型永久優先株の一つだ。同社は普通株や優先株、転換社債などを活用して資金を調達し、BTCを購入する財務戦略を進めてきた。STRCは2025年7月に発行され、調達資金はBTC取得を含む一般企業目的に充当すると説明されていた。

一方、ストラテジーは6月29日に資本管理方針「デジタル・クレジット資本フレームワーク(Digital Credit Capital Framework)」を発表した。同方針では、保有BTCを必要に応じて資本管理にも活用できる「BTCマネタイゼーション・プログラム(BTC Monetization Program)」を導入。BTC売却代金を優先株の配当や既存債務の利払い、USDリザーブの補充、デジタル・クレジット証券やMSTRの買い戻しに充当できる仕組みを設けた。

同社は前週の7月27日から8月2日にも1,638BTCを売却し、売却代金のうち5,230万ドル(約83億円)をSTRCの買い戻しに充当していた。今回もBTC売却代金をSTRCの買い戻しに使用しており、その資金使途はデジタル・クレジット資本フレームワークで想定された内容と一致している。

MSTR売却でUSDリザーブを46.5億ドルへ積み増し

ストラテジーは8月3日から9日にかけて、ATM(市場発行型)プログラムに基づきMSTRを658万5,682株売却し、販売手数料控除後の純手取額として6億5,310万ドル(約1,041億円)を調達した。STRF、STRC、STRK、STRDの各優先株については、ATMプログラムによる売却を実施していない。

MSTR売却による純手取額のうち6億5,000万ドル(約1,036億円)はUSDリザーブ(米ドル準備金)へ積み増され、残る310万ドル(約4.9億円)は同社の現金残高に加えられた。これにより、8月9日時点のUSDリザーブは46億5,000万ドル(約7,409億円)となった。この金額には、同日時点で未決済だったATMによる株式売却の受取予定額も含まれる。

USDリザーブは、ストラテジーが優先株の配当や既存債務の利払いに備えて保有する米ドル建ての資金準備だ。同社は6月29日に発表したデジタル・クレジット資本フレームワークで、現在予想される年間支払額の少なくとも12カ月分に相当するUSDリザーブを維持する方針を示している。

また同社は、今回のUSDリザーブ積み増しとSTRC買い戻しを含む一連の取引により、USDデュレーションが143日延びて2.7年となり、STRCの「BTCクレジット(BTC Credit)」が10ベーシスポイント(bps)縮小したと公式Xで説明した。同社のダッシュボードでも、USDリザーブは46億5,000万ドル(約7,409億円)、年間の優先株配当と利払いは17億3,600万ドル(約2,766億円)、USDデュレーションは2.7年と表示されている。USDデュレーションは、USDリザーブが年間の優先株配当と利払いを何年分カバーできるかを示す同社独自の指標だ。

BTCクレジットは、同社がデジタル・クレジット証券について設定する独自指標で、対象証券の「BTCリスク(BTC Risk)」を相殺するために必要な信用スプレッドを示す。ストラテジーは、BTCクレジットについて財務実績や流動性を示す指標ではなく、投資判断の基礎とすべきものではないとしている。

なお、ストラテジーが6月29日に発表したデジタル・クレジット証券買い戻しプログラムでは、優先株式を対象に総額10億ドル(約1,593億円)の買い戻し枠が設定されている。今回の買い戻し後も7億8,520万ドル(約1,251億円)の買い戻し余力が残っている。また、MSTRを対象とする10億ドル(約1,593億円)規模の自社株買いプログラムでは、10億ドルの買い戻し枠の全額が残っている。

参考:フォーム8-Kストラテジー
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。