データチェーン、トークン化預金によるプログラマブル決済へ。「統合クロスチェーンAPI基盤」の実証開始

データチェーンが産業データとオンチェーン金融を接続

ブロックチェーン関連事業を手掛けるデータチェーン(Datachain)が、トークン化預金によるプログラマブル決済に向けた「統合クロスチェーンAPI基盤」の実証実験を開始したと7月30日に発表した。

同基盤は、企業が利用するERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務システム)や会計システム、IoT(Internet of Things)機器などから得られる実世界データと、ブロックチェーン上のスマートコントラクトおよび金融システムを接続するもの。企業間取引におけるデータ、契約、認証、決済の一体的な処理を可能にすることを目指す。

データチェーンによると、企業間取引では、契約、納品、検収、請求、支払いまでのプロセスが複数の事業者やシステム、金融機関にまたがる。そのため、情報の不整合や確認作業の負荷、決済タイミングのずれといった課題が生じているという。

また、スマートコントラクトを実取引に活用するには、現実世界で発生した事象や第三者による認証結果を、真正性を担保した形でブロックチェーンへ連携する必要がある。さらに、これらの情報を契約条件の判定や決済処理へ反映する仕組みも求められると同社は説明している。

近年はステーブルコインやトークン化預金、セキュリティトークン、RWA(Real World Assets:現実資産)など、ブロックチェーン技術を活用した金融インフラの検討や実装が進んでいる。一方、こうしたオンチェーン金融を実社会の企業間取引に実装するには、ERPや会計システム、受発注・請求・検収などの業務システムに加え、物流・在庫・稼働状況などを取得するIoTデータとの連携が不可欠だとデータチェーンは説明している。

今回の実証実験では、ERPや企業間取引システムから取得される取引データ、IoT機器を通じて取得される物流・在庫・稼働状況などのデータ、第三者による認証データを、ブロックチェーン上のスマートコントラクトの実行条件と連携させるという。

そのうえで、あらかじめ定めた取引条件や承認条件が満たされた場合に、契約状態の更新や送金指図を行う仕組みを検証する。これにより、現実世界の取引事象とオンチェーン金融機能を連動させる一連のプロセスを確認するとのこと。

また、異なる業務システムやデータソースとの接続、外部データに基づく条件判定、契約状態の更新から送金指図までの処理について、安全性や監査可能性、実務適用上の課題を検証する。

支払条件や承認条件、外部データに基づく状態判定、契約状態の遷移などを、ブロックチェーン上で検証可能なルールとして扱う仕組みも検証対象となる。これにより、どの条件に基づいて契約状態が変化し、送金指図が実行されたのかを事後的に確認できるようになるという。データチェーンは、照合や監査に係る負荷の低減を期待している。

なお、検証はEVM(Ethereum Virtual Machine)互換性を有する許可型ブロックチェーン環境で実施される。当面は参加者を限定した環境で実証を進める。将来的には、複数のブロックチェーンや既存金融インフラとの相互運用も見据えて技術検証を進めるとのこと。

データチェーンは、同基盤を自民党「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」が示した構想に沿う取り組みと位置付けている。同PTの提言では、産業(カレンシー)サイドと資産運用(アセット)サイドの両面をオンチェーン化する将来像が示されている。同社は、この構想の実現に向けて同基盤の実用化と社会実装を目指すとのことだ。

なおデータチェーンは直近、オンチェーン金融の社会実装に向けた取り組みを進めている。7月29日には、企業向けオンチェーンプライバシー基盤「KuraPrivacy」のサービスAPIのテスト版と、秘匿送金デモアプリ「Kura Pay」の提供を開始。また31日には、ケネディクス、KDX STパートナーズ、プログマと共同で、不動産STと信託型ステーブルコインを想定したクロスチェーンDvP(同時決済)の第1段階実証を完了したと発表している。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。