アーベラボ、企業向け「Stable Vaults」の提供開始。ステーブルコイン利回り機能の組み込みを支援

企業向けステーブルコイン利回り基盤を提供

分散型金融(DeFi)プロトコル「アーベ(Aave)」の開発を主導するアーベ・ラボ(Aave Labs)が、企業向けのステーブルコイン利回り基盤「ステーブル・ボールツ(Stable Vaults)」の提供開始を7月9日に発表した。フィンテック企業やウォレット、暗号資産(仮想通貨)取引所、決済アプリなどが、自社サービスへステーブルコインの利回り機能を組み込めるようにする。

ステーブル・ボールツは、企業がDeFiの複雑な仕組みを意識せず、利用者向けに利回りサービスを提供できるようにする基盤だ。従来、企業がこうしたサービスを提供するには、変動する金利への対応や複数のブロックチェーンにまたがる流動性の管理、資金配分の調整などを自社で構築・運用する必要があった。また、ブロックチェーン間で資産を移動するブリッジにも対応しなければならなかった。

ステーブル・ボールツは、資金管理や利回り管理など、こうした複雑な運用を裏側でまとめて担う。これにより、企業はDeFiの技術的な仕組みを利用者に意識させることなく、一般的な金融アプリに近い形で利回りサービスを提供できるようになる。具体的には、ステーブル・ボールツはオンチェーンの運用先から得られる変動利回りを活用しながら、利用者へ預入時に設定される固定利率を提供できるよう設計されている。資金配分の調整やブロックチェーン間の資産移動、利用者へ提供する利率の管理も同基盤を通じて行われるとのことだ。

企業は、自社サービスに合わせて商品設計も柔軟に行える。受け入れるステーブルコインや運用戦略、利用者へ提示する利率を選択できるほか、プレミアム会員向けに高い利率を設定したり、期間限定の金利キャンペーンを実施したりすることも可能だ。運用収益が利用者へ約束した利率を上回った場合、その差額は運営企業の収益となる。

利用者は、DeFi特有の複雑な操作を意識せずサービスを利用できる。具体的には、運営企業が対応するステーブルコインを預け入れ、対応する別のステーブルコインで引き出すことが可能だ。また預け入れられた資金は、複数のブロックチェーン上の運用先へ配分できる。運用資金のチェーン間移動は同基盤を通じて処理されるため、利用者がブリッジを直接操作する必要はない。ただし、利用者が任意の対応チェーンから直接入出金できる「クロスチェーン入出金」は、公式製品ページで現時点では「Coming Soon」とされている。

アーベ・ラボは、想定される活用例として、ネオバンクによる固定利率の貯蓄機能や、決済企業による加盟店の未使用決済資金の運用を挙げている。また同社は、ウォレットや暗号資産取引所が、利用者向けにワンタップで利用できる利回り機能を追加することも想定している。

なおステーブル・ボールツは、アーベ・ラボが提供するモバイル貯蓄アプリ「アーベ・アプリ(Aave App)」の利回り機能をすでに支えているスマートコントラクト・ボールトだ。今回アーベ・ラボは、この仕組みを外部企業も自社サービスへ組み込める企業向け基盤として提供開始した。

参考:Aave 
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。