BNBチェーン、次世代レイヤー1開発へ。AIエージェントや機関利用見据え

次世代L1開発に向けたロードマップを公開

BNBチェーン(BNB Chain)の開発を担うBNBチェーン開発チーム(BNB Chain Team)が、2026年下半期の技術ロードマップを7月8日に公開した。同ロードマップでは、AIエージェントや高速取引向けに設計した次世代レイヤー1ブロックチェーン(L1)の開発計画を明らかにした。

BNBチェーンは、暗号資産(仮想通貨)取引所大手バイナンス(Binance)に関連するブロックチェーンエコシステムだ。現在はレイヤー1ブロックチェーン「BSC(BNB Smart Chain)」やレイヤー2ブロックチェーン「opBNB」、分散型ストレージ「BNBグリーンフィールド(BNB Greenfield)」などを展開している。

今回のロードマップでは、BNBチェーン開発チームが、それらに加え、新たな次世代L1の開発方針を示した。この新しいL1は、AIエージェントによる自動取引や企業・金融機関による利用などを見据えて設計される。

BNBチェーン開発チームによると、新しいL1は、低遅延な処理が求められるAIエージェントによる取引などを支える基盤として設計される。10万TPS超の処理性能に加え、50ミリ秒未満のトランザクション事前確認、1秒未満のブロックファイナリティを目標としている。

BNBチェーン開発チームは、ネットワーク混雑時でも重要なトランザクションを安定して処理できる仕組みも導入する。公開メモリプール(mempool)を持たずトランザクションをブロック生成者へ直接送信する「Txストリーム(TxStream)」や、オラクル更新や清算、ブリッジなど重要な機能向けに処理枠を確保する「プライオリティレーン(PriorityLane)」を実装する予定だ。これにより、同チームは取引の遅延を抑えるとともに、取引内容を先回りして利益を得る「フロントランニング」を防ぐ設計になっている。

また同チームは、Web2に近い利用体験の実現も目指す。ガス代の肩代わりやパスキー署名などに対応するアカウント抽象化機能や、選択的開示に対応したプロトコルレベルのプライバシー機能を実装する計画だ。

なお、BNBチェーン開発チームは次世代L1について、2026年末までにテストネットを公開し、2027年初めのメインネット公開を目指すとしている。

BSCの性能改善と企業利用も推進

今回のロードマップでは、新しいL1の開発に加え、既存ネットワーク「BSC」の性能改善についても報告された。ブロック間隔を750ミリ秒から450ミリ秒へ短縮したほか、実用上の取引確定時間を示す「インメモリ・ファイナリティ」を1,125ミリ秒から650ミリ秒へ改善した。また、ベンチマーク上のスループットは約2,800TPSから約5,200TPSへ向上したとのこと。

BNBチェーン開発チームは、2026年下半期にはBSCメインネットのスループットをさらに2倍へ引き上げることを目標としている。また、アプリケーション同士が互いの処理性能へ影響を与えにくいネットワークを目指し、リソース分離やガス代構造の改善も進めるとしている。

同チームは、企業や金融機関による利用拡大も見据えている。そのため、ステーブルコインの発行・移転を容易にする新たなトークン規格の検討や、コンプライアンスおよび規制要件に対応するプライバシー・フレームワークの開発を進める。

さらに同チームは、AIを活用したセキュリティ機能の強化に加え、現実資産(RWA)のトークン化やステーブルコイン、分散型金融(DeFi)プロジェクト向けの技術支援やミドルウェア提供も継続する方針だ。

このほか同チームは、ポスト量子暗号への対応についても研究を継続する。現在の暗号技術の上に量子耐性保護を重ねるハイブリッド方式をテストするとともに、既存アドレスを変更することなく量子安全なセキュリティを導入できるよう、アカウント抽象化を活用した仕組みを研究しているとしている。

参考:BNBチェーンブログ
画像:iStocks/Peach_iStock

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。