機関投資家向けオフエクスチェンジ決済を提供
暗号資産取引所のバイナンス(Binance)が、米国初の連邦認可暗号資産銀行であるアンカレッジ・デジタル・バンク(Anchorage Digital Bank N.A.)を擁するアンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)との統合を6月30日に発表した。これにより、バイナンスの「トリパーティ・バンキング(Triparty Banking)」ネットワークが拡充されるほか、アンカレッジ・デジタルの機関投資家向け決済プラットフォーム「Atlas」において、初の暗号資産取引所連携が実現した。
今回の連携により、対象となる機関投資家およびプロ投資家は、アンカレッジ・デジタルの「オフエクスチェンジ・セトルメント(Off-Exchange Settlement:取引所外清算)」を通じて、担保資産を独立したカストディで保管したまま、バイナンスの流動性へアクセスできるようになる。
暗号資産市場ではこれまで、取引所へ資産を事前に預け入れる「プレファンディング」が一般的だった。一方、厳格なリスク管理や受託者責任、カストディ規制への対応が求められる機関投資家にとっては、この仕組みが市場参入のハードルとなっていた。
今回の統合は、資産の保管と取引執行を分離することで、伝統的な金融市場に近い市場インフラを提供する取り組みとなる。
バイナンスのトリパーティ・バンキングは、機関投資家向けの取引・決済・レンディング・担保管理などのワークフローを支援するインフラだ。
担保資産としては現金や現金同等物、暗号資産に加え、ブラックロックの「BUIDL」、サークルの「USYC」、フランクリン・テンプルトンの「iBENJI」など、マネー・マーケット・ファンドを裏付けとしたトークン化リアルワールドアセット(RWA)にも対応しており、資本効率の向上が期待される。
なお、バイナンスは2023年、暗号資産取引所として初めてトリパーティ・バンキングを試験導入しており、今回の統合はそのネットワーク拡充の一環となる。
バイナンスのVIP・機関投資家部門責任者のキャサリン・チェン(Catherine Chen)氏は、「アンカレッジ・デジタルとのオフエクスチェンジ決済の統合により、対象となる機関投資家は、従来型金融市場に近いモデルでカストディと担保を管理しながら、バイナンスの流動性へアクセスできるようになる」とコメントした。
また、アンカレッジ・デジタルの共同創業者兼CEOのネイサン・マッコーリー(Nathan McCauley)氏は、「機関投資家が求めているのは、従来型金融市場と同水準の市場構造だ。Atlasを基盤とするOff-Exchange Settlementは、その実現に向けて設計されている。取引高ベースで世界最大の暗号資産取引所であるバイナンスとの連携により、このモデルをより幅広い市場参加者へ提供できる」と述べた。
アンカレッジ・デジタルは、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)、GIC、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、KKR、Visaなどから出資を受ける暗号資産インフラ企業。企業評価額は42億ドルとされ、米国の連邦銀行認可に加え、シンガポール金融管理局(MAS)のライセンスやニューヨーク州のビットライセンス(BitLicense)も取得している。
参考:発表
画像:PIXTA