クラーケンとバイビット、スペースX IPO申込受付を開始。xStocks活用で

クラーケンとバイビットがスペースX IPOへのアクセス提供

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)が、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が設立した民間宇宙開発企業「スペースX(SpaceX)」の新規株式公開(IPO)への参加申込機能の提供を開始したと6月5日に発表した。

今回の取り組みは、同社の「IPOアクセス(IPO Access)」プログラムを通じて実施されるものだ。対象地域の利用者は、スペースXのIPOに参加する意思表示を事前に行えるとのこと。ただし、割当は保証されない。

クラーケンによると、IPOで割当を受けた利用者には、スペースX株式のトークン化表現である「SPCXx」が付与される。同トークンは上場後、24時間365日取引が可能になるとしている。なお欧州経済領域(EEA)の利用者については24時間・週5日取引とされている。

今回利用されるSPCXxは、株式トークン化基盤「xストックス(xStocks)」を通じて提供されるIPO xStocksだ。クラーケンによると、同トークンは規制対象事業者が保管する株式によって1:1で裏付けられる仕組みとなる。

なお、xストックスはクラーケン親会社ペイワード(Payward)傘下のペイワード・サービシズ(Payward Services)による株式トークン化フレームワークだ。従来は上場済み株式やETF(上場投資信託)のトークン化を中心としていたが、今回のスペースX案件ではIPO段階でxストックスが利用される。IPO xStocksの発行主体は、クラーケングループのBacked Assets (JE) Limitedとされている。

同様に、暗号資産取引所バイビット(Bybit)も「IPOエクスプレス(IPO Express)」を通じてスペースX IPOへの申込受付を開始した。同社の告知ページは6月6日付で、プレスリリースでは6月7日に発表されている。

バイビットによると、同社もクラーケンと同じくxストックスを利用しており、利用者が事前に申込を行い、割当を受けた場合はスペースX株式のトークン化表現であるSPCXxを受け取れる仕組みとのこと。

一方で、両社ともxストックスについて、株式そのものではない点を説明している。利用者は株価の値動きに連動した経済的エクスポージャーを得られるものの、議決権や配当受取権など株主としての権利は付与されないとのことだ。

なおxストックスを巡っては、米証券取引所ナスダック(Nasdaq)が今年3月、株式トークン化に向けた設計「株式トークン設計(Equity Token Design)」を発表した際、ペイワードとの提携も公表している。両社は、トークン化株式を規制市場とブロックチェーンネットワークのあいだで移動可能にする仕組みの構築を進めている。

IPO前価格を取引する市場も拡大

スペースX IPOを巡っては、IPOそのものへの参加だけでなく、IPO前の価格期待を取引する市場も拡大している。

暗号資産取引所バイナンス(Binance)は5月21日、スペースXのIPO期待価格を取引対象とする無期限先物「SPCXUSDT」を上場した。同商品は株式そのものではなく、「IPO時にどの程度の企業価値や株価水準になるか」という市場期待を取引するデリバティブとして設計されている。

また分散型取引プラットフォーム(DEX)ハイパーリキッド(Hyperliquid)上でも、5月18日からトレードxyz(Trade.xyz)が提供するスペースX関連市場「SPCX」が取引されている。同市場は、スペースX株式の予想価格を反映するプレIPO市場として提供されている。

トレード.xyzによると、SPCXは1株150ドル(約24,057円)を基準価格として開始された。その後、一時約216ドル(約34,642円)相当まで上昇したものの、IPO日が近づくにつれて下落している。記事執筆時点では約169ドル(約27,104円)となっている。 ・なお、これらの市場はいずれもスペースX株式の所有権を表すものではない。実際の株式保有やIPO割当とは異なり、あくまでも市場参加者による価格予想や期待を反映する仕組みとなっている。

今回のスペースX IPOを巡っては、クラーケンやバイビットがIPO参加機能を提供する一方で、バイナンスやハイパーリキッドではIPO前価格を取引する市場が形成されている。未上場企業の価格発見からIPO参加、上場後の流通までをオンチェーン上で実現しようとする動きが広がっている形だ。

特にハイパーリキッド上のSPCX市場については、実際のIPO価格や上場後の株価をどの程度反映できるのかにも関心が集まっている。分散型市場が未上場企業の価格発見市場として機能するかを占う事例として見られている。

参考:プレスリリースバイビットトレードxyz(X)ハイパーリキッド
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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