ヴィタリック、AI時代の自己主権とプライバシー保護の重要性を主張

ローカルAIとEthereumの共通課題に言及

イーサリアム(Ethereum)共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、AIエージェント時代におけるプライバシーや自己主権(Self-Sovereignty)の重要性について5月28日に自身のXアカウントで言及した。

ブテリン氏はこれまでも、AIを経済活動の主体として活用する可能性にたびたび言及している。今年2月に同氏は、AIエージェント同士が支払いを実行し、サービスを発注する世界観を示していた。今回の投稿では、その前提となるAIインフラのあり方について同氏は論じている。

ブテリン氏は、利用者自身のコンピューター上でAIモデルを動かす「ローカルAI」の発展に触れた。現在主流のチャットGPT(ChatGPT)やクロード(Claude)のようなクラウド型AIとは異なり、ローカルAIは利用者のデータを外部事業者へ送信せずに利用できることが特徴だ。

同氏は、オープンソースAIモデル「ディープシーク v4(DeepSeek v4)」の2bit量子化版を引き合いに出し、高性能なAIを高性能な個人向け環境でもローカル実行する選択肢が広がっていると指摘した。

また、同氏は一部の企業が提供する特定のハードウェアだけでなく、複数のメーカーの機器で利用できることが重要だと指摘した。AIの利用環境が特定企業へ依存しすぎることには課題があるとの考えが示された。

そのうえで同氏は、AIサービスとブロックチェーンの双方において、利用者の情報が第三者へ渡る可能性があるという共通課題があると説明している。

具体例として同氏は、ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)を活用した有料のリモートLLM呼び出しを挙げた。利用や課金に伴うメタデータの露出を抑えながらAIサービスを利用できる仕組みが必要だという。

同氏によると、この考え方はイーサリアムにも応用できるとのこと。利用者は通常、RPCと呼ばれる外部サービスを通じてブロックチェーンへアクセスするが、その際にウォレット情報や利用履歴などのメタデータが事業者へ渡る場合がある。

ブテリン氏は、AIとブロックチェーンのどちらにおいても、サービス利用時のプライバシー保護が今後重要になるとの認識を示した。

また同氏は、特定用途向けに調整されたAIモデルにも言及している。イーサリアム関連のユースケース向けにファインチューニングされたAIモデルは、トランザクション検証やスマートコントラクト監査、プロトコルコードの安全性向上に役立つ可能性があるとの見方を示している。

なおブテリン氏は今年4月、「My self-sovereign / local / private / secure LLM setup, April 2026」と題したブログを公開している。同ブログでは、クラウドAIへの過度な依存に懸念を示し、ローカルAIやサンドボックス環境を活用したプライバシー重視のAI利用が提唱されていた。

 参考:ブログ
画像:大津賀(あたらしい経済)

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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