バイナンスでATOM先物終了、オズモシス低迷で流動性に懸念の声、ニュートロンは保守体制に

OsmosisのTVLと取引量はピーク比で大幅減

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のデリバティブ部門である「バイナンス・フューチャーズ(Binance Futures)」が、複数の無期限先物(パーペチュアル)契約の取引終了を3月13日発表した。

発表によると、同取引所はコスモスハブ(Cosmos Hub)のネイティブトークン「ATOM」を対象とした「ATOMUSD」などの無期限先物契約について、全ポジションのクローズおよび自動精算を実施したうえで、当該契約を上場廃止するとのこと。

対象となるのは、証拠金や決済に暗号資産を用いる「COIN-M」型の先物で、満期日がなく継続的に取引できる仕組みとなっている。またこれに先立ち、3月17日には、米ドル連動のステーブルコイン(USDTなど)を証拠金として利用する「USDⓈ-M」型の無期限先物契約の一部についても取引終了が行われるとしている。

こうした動きを受け、分散型金融(DeFi)領域の情報発信者であるエド(Ed | AirdropGlideApp)氏は、自身のXアカウントにて、「オズモシス(Osmosis)が機能しなくなれば、ATOMの流動性も大きく失われる」との見解を示した。同氏は、今回のバイナンスによるATOM関連先物の廃止について、コスモス(Cosmos)エコシステムにおける流動性低下の可能性を指摘しているが、バイナンスからは具体的な理由は発表されていない。これは同氏による独自の見解とみられる。

なおコスモスエコシステムにおいて、分散型取引所(DEX)のオズモシスは主要な流動性の集約地点として機能してきた。コスモスは異なるブロックチェーン間を接続する「IBC(Inter-Blockchain Communication)」を通じ、各チェーン上のトークンがオズモシス上で取引される構造となっている。

一方で、オンチェーンデータサイトの「ディファイラマ(DeFiLlama)」によると、オズモシスのTVL(預かり資産総額)は2022年のピーク時に約18億ドル(約2,865億円)規模に達していたが、2026年3月時点で約1,600万ドル(約25.5億円)まで減少している。取引量は2022年のピーク時に日次約5億ドル(約796億円)規模に達していたのに対し、直近では日次約200万ドル(約3.1億万円)にとどまっている。

これらのデータから、オズモシスから資金が抜けており取引量も縮小している状況が示唆される。

Neutronが長期保守体制へ移行

こうした中、コスモスエコシステムではDeFiプロトコルを巡る動きにも変化がみられている。

コスモスハブに接続されるブロックチェーン「ニュートロン(Neutron)」は3月17日、ネットワークを長期保守体制へ移行する方針を発表した。

発表によると、同ネットワークは今後もブロック生成は継続するものの、DEXや運用プロダクト「スーパーボールト(Supervault)」などの主要機能については段階的に停止される。ニュートロンの開発主体であるニュートロン財団(Neutron Foundation)は、今後の持続的な運営に向けた十分な戦略を見出せなかったと説明した。

同ネットワークはこれまで最大で約1億ドル(約159億円)規模のTVLを集め、累計で約18億ドル(約2,865億円)の取引量を処理した実績があるが、直近では市場環境の変化や一部プロトコルの問題などを受け、戦略の見直しを余儀なくされていたと説明されている。ディファイラマによると、同ネットワークのTVLは現在約775万ドル(約12.3億円)、日次取引量は約17万5,000ドル(約2,800万円)となっている。

こうした動きも踏まえると、コスモスエコシステムではDeFiプロトコルの縮小が確認されており、オンチェーン上の資本規模や流動性が変化している可能性がある。

参考:バイナンスDeFiLalamaニュートロン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。