レイヤーゼロ、新L1「Zero」構想を公開。金融市場インフラ見据えた設計

レイヤーゼロが新ブロックチェーン「Zero」を発表

クロスチェーン通信プロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」の開発を主導するレイヤーゼロラボ(LayerZero Labs)が、独自のレイヤー1(L1)ブロックチェーン「ゼロ(Zero)」の構想を2月10日に発表した。

ゼロは、取引の「実行」と「検証」を分離し、ゼロ知識証明を用いることで、多くのバリデータが同じ処理を再実行する必要をなくし、高い処理性能を実現しようとするブロックチェーンだ。処理を分散させ、公式には1ゾーンあたり最大200万TPSを目指すとしている。

今回のゼロの発表は、レイヤーゼロが、分散型金融(DeFi)や暗号資産(仮想通貨)領域にとどまらず、取引、清算、決済、担保管理といった既存の金融市場インフラをオンチェーンで再構築する可能性を視野に入れた動きと位置付けられる。

今回の発表では、ゼロの構想にあたり、シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)、DTCC(The Depository Trust & Clearing Corporation)、インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange:ICE)、グーグル・クラウド(Google Cloud)など、金融・テクノロジー分野の大手企業と協業していることも明らかにされた。シタデル・セキュリティーズは、ネットワークのネイティブ・ガバナンストークンとして位置付けられる「ZRO」への戦略的投資も実施している。また、世界最大のステーブルコイン発行企業テザー(Tether)が、レイヤーゼロラボ(LayerZero Labs)に戦略的投資を行ったことも発表している。

さらに、DTCCは、証券トークン化や担保管理向けの既存サービスに、ゼロの技術的進展をどのように活用できるかを調査するとしている。ICEは、24時間365日稼働する市場や、トークン化担保の活用を見据え、ゼロの高性能アーキテクチャの応用可能性を検討するとしている。

Zeroの設計

ゼロは、従来のブロックチェーンで前提とされてきた「すべてのノードが同じデータを保存し、同じ処理を再実行する」という均質な設計を見直し、実行と検証の役割分担によってスケーリングを図る相互運用型ブロックチェーンとして構想されている。このようなコンセプトを、ゼロは「マルチコア型ワールドコンピューター」と表現している。

ゼロは、すべてのバリデータが同一の処理を担う従来型設計では、ハードウェア要件と分散性のトレードオフが避けられず、これがスケーリングの根本的な制約になっていると捉えている。参加障壁を下げれば性能や手数料が問題となり、高性能化を優先すれば分散性が損なわれやすいという構造だ。

このトレードオフに対し、ゼロはZKP(ゼロ知識証明)を用いて「実行」と「検証」を分離する設計を採用している。取引の実行や状態遷移は「ブロックプロデューサー(Block Producer)」が担い、その処理が正しく行われたことを示すゼロ知識証明を生成する。一方、多数のバリデータはその証明を検証する役割に特化する。これにより、バリデーターは必ずしもすべての取引を保存・再実行する必要がなくなり、ストレージ要件や通信量の削減につながるとしている。

またゼロは、用途ごとに「アトミシティ・ゾーン(Atomicity Zones)」といわれる複数の実行レーンを並列稼働させる設計を掲げている。ゾーン内では、競合しない取引について「FAFO(Fast Ahead of Formation Optimization)」と呼ばれる実行スケジューリング手法により並列処理を行う一方、同一データへのアクセスなど競合する処理は直列化する。ただし、その影響を特定のゾーン内に閉じ込めることで、ネットワーク全体の混雑を回避する構造を目指すという。

こうした設計思想は、近年の高性能ブロックチェーンとも問題意識を共有する一方で、解決アプローチには違いがある。例えば、ソラナ(Solana)はトランザクションの依存関係を明示することで単一実行環境内の並列化を進め、スイ(Sui)はオブジェクト単位で状態を分離することで競合範囲を限定している。またモナド(Monad)は、EVM互換性を維持したまま実行工程をパイプライン化する設計を掲げている。これに対しゼロは、ゼロ知識証明を用いてノードごとの役割を分離する点に特徴がある。

ゼロは2026年秋のローンチを予定しており、当初は汎用EVM環境、プライバシー重視の決済インフラ、全資産クラスを対象とした取引環境の3つのゾーンを立ち上げる計画だ。

参考:プレスリリース
画像:iStocks/vectortatu

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あたらしい経済 編集部

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