テザー、相互運用プロトコル「レイヤーゼロ」に戦略的投資

USDTのグローバル決済基盤化を見据えた相互運用戦略

世界最大のステーブルコイン発行企業であるテザー(Tether)が、相互運用プロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」を開発するレイヤーゼロラボ(LayerZero Labs)に戦略的投資を行ったと2月10日に発表した。テザーは今回の投資について、すでに実運用環境で利用されている相互運用インフラを支援するものだとしている。

テザーは、米ドル連動型ステーブルコイン「USDT」を中心に、複数のブロックチェーン上でデジタル資産の決済や移転に利用されてきた。一方で、ブロックチェーンごとに資産や流動性が分断される構造は、ステーブルコインをグローバルな決済手段として機能させる上での課題でもあった。

こうした背景の中で、テザーが重視しているのが相互運用性だ。同社は「異なるブロックチェーン間で資産を安全かつ効率的に移動できるインフラが流動性の分断を抑え、決済や清算をより柔軟に行うための基盤になる」と説明している。

今回投資を受けたレイヤーゼロラボは、ブロックチェーン間の接続を可能にする相互運用プロトコルの開発企業だ。同社の技術は、デジタル資産が複数のブロックチェーンをまたいで移動するための基盤として、すでに市場で広く利用されている。

またレイヤーゼロは、テザーが発行するオンムニチェーン版トークン「USDT0」および「XAUt0」にも活用されてきた。USDT0は、USDTを複数のブロックチェーン上でシームレスに利用できるようにしたトークンで、特定のチェーンにネイティブ発行されていない環境でもUSDTの価値移転を可能にする仕組みだ。これらのトークンは、エバードーンラボ(Everdawn Labs)によって開発されている。

テザーによると、USDT0はローンチ以降12ヶ月未満で700億ドル(約10.7兆円)のクロスチェーン価値移転を実行しており、実際の市場環境で大規模に利用されてきたという。同社はこの実績を、相互運用技術が理論段階にとどまらず、本番環境で機能している証拠だと位置付けている。

今回の投資についてテザーは、分断の低減、流動性効率の向上、そしてステーブルコインを複数のブロックチェーン環境でグローバルな決済手段として機能させるという同社の中長期的な戦略と一致すると説明した。投資額については明らかにしていない。

なおレイヤーゼロは独自のレイヤー1ブロックチェーン「Zero」を立ち上げると2月10日に発表した。また同発表に合わせて、米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)や投資会社アーク・インベスト(Ark Invest)が、同プロトコルのネイティブトークン「ZRO」を取得する形で支援することを、暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」が報じている。

さらにレイヤーゼロは、クラウド事業者のグーグル・クラウド(Google Cloud)や、証券決済インフラを担うDTCCとも提携を発表しており、取引、清算、決済といった既存金融市場のワークフローへの応用可能性が検討されているという。

こうしたレイヤーゼロの一連の動きを踏まえると、今回のテザーによるレイヤーゼロへの戦略的投資は、ステーブルコインを複数のブロックチェーン環境でグローバルな決済・清算インフラとして機能させていく上で相互運用基盤を中核に据えようとする同社の方向性を示すものといえる。

参考:テザープレスリリースザ・ブロック
画像:PIXTA

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