米カンザス州、未請求暗号資産を活用の「ビットコイン準備金創設法案」提出

直接投資を伴わないBTC準備金の制度化を検討

米カンザス州議会が、ビットコイン(BTC)および暗号資産(仮想通貨)を対象とした戦略的準備金を創設する上院法案352号(SB 352)を1月21日に提出した。米国の州・連邦レベルの法案を横断的に追跡・閲覧できる立法情報データベース「レジスキャン(LegiScan)」で確認できる。

同法案は、州財務局内に「ビットコインおよびデジタル資産準備基金(Bitcoin and Digital Assets Reserve Fund)」を新設する内容となっている。特徴的なのは、州が市場から暗号資産を直接購入する形ではなく、未請求財産(unclaimed property)として扱われたデジタル資産から生じるステーキング報酬、エアドロップ、利息のみを財源とする点だ。

法案では、一定期間にわたり所有者による利用や意思表示が確認できない暗号資産を「放棄されたデジタル資産」とみなす枠組みが示されている。具体的には、所有者宛ての書面または電子的な連絡が返送不能となった後、3年間にわたり口座へのアクセスや取引などの「所有権行使」が行われなかった場合、当該デジタル資産は放棄されたものと推定される。

放棄されたデジタル資産は、州の管理下に移され、州が指定する適格カストディアンによって保管される。この段階では、元本は所有者が請求できる対象として扱われる一方、上場デジタル資産は法の枠組み上、州が売却する規定もあり、請求が「現物」ではなく「売却代金」となる可能性がある。また、保管中に発生したステーキング報酬やエアドロップについては、一定期間経過後に準備基金へ移管される仕組みが想定されている。

また、同法案はビットコインとそれ以外の暗号資産を区別して取り扱っている点も特徴だ。ビットコインについては、州一般会計へ移管することを明示的に禁止しており、準備基金内での保有を前提としている。一方、ビットコイン以外のデジタル資産については、準備基金に預け入れられた額の10%(各入金の10%、ただしBTCは除外)を州一般会計に振り替える規定が盛り込まれている。

準備基金からの支出については、州議会による別途の予算承認が必要とされており、州財務官が単独で運用や処分を行うことは想定されていない。法案全体として、暗号資産の保有や活用を制度化しつつも、既存の財政統制の枠組みの中に位置付ける設計となっている。

なお、米国では州レベルで暗号資産を公的制度の中に位置付ける動きが進んでいる。2025年にはアリゾナ州で、未請求財産として取得した暗号資産や、そこから生じるエアドロップ、ステーキング報酬を原資とする州準備金が正式に設立された。またニューハンプシャー州では、州関連機関がビットコインを担保とする地方債を承認しており、暗号資産を既存の金融制度の一部として活用する事例も現れている。さらにフロリダ州では、州が暗号資産を戦略的準備金として取得・管理するための法的枠組みを定める法案が提出されている。

カンザス州のSB352は、こうした一連の動きの中でも、州による市場での直接購入を伴わず、未請求財産制度を起点に暗号資産を管理・活用しようとする比較的慎重な制度設計の事例として位置付けられる。

参考:レジスキャン
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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