韓国、暗号資産市場の競争促進へ。規制見直し検討

1取引所1銀行慣行是正やデリバティブ導入議論

韓国の金融当局が、年内を目標にデジタル資産(暗号資産)規制体系の見直しに向けた具体策の策定に着手した。現地紙「ヘラルド経済」が1月20日に報じた。

報道によると検討の中心となっているのは、取引所と銀行が事実上1対1で連携する「1取引所–1銀行」慣行の改善や、デジタル資産デリバティブ商品の発行容認など、市場活性化を念頭に置いた規制緩和策だという。公正取引委員会と金融サービス委員会(FSC)は現在、デジタル資産関連の主要規制を緩和する方向で協議を進めている。

政府関係者は「関係省庁間で規制緩和の範囲や時期について継続的に議論しており、短期課題と中長期課題に分けて年内発表を目指している」と述べている。

両機関はこれに先立ち、「暗号資産取引市場分析および主要規制に対する競争影響評価」に関する研究を実施した。この研究は、国内デジタル資産市場の構造や取引所間の競争環境を点検し、寡占構造の是正策を探る目的で行われたものである。

報告書では、「1取引所–1銀行」慣行が解消されれば、取引所間の競争が促進され、消費者の利便性や選択肢が拡大する可能性があると分析された。この慣行は法令で明文化された規制ではないものの、マネーロンダリング防止(AML)や顧客確認(KYC)を理由に、実務上は長年維持されてきた。その結果、取引所は顧客に法定通貨のオンランプおよびオフランプを提供するため、特定の国内銀行との事実上の独占的提携に依存してきた経緯がある。

研究では、このモデルがコンプライアンスリスク管理を目的としている一方で、リスクプロファイルや取引量が異なる取引所に統一基準を適用することで、市場に不均衡が生じる可能性があると指摘された。業界からも、取引規模やリスク水準が異なる事業者に一律の基準を課すのは過度だとの声が上がっているという。

研究者らは、韓国ウォン建ての暗号資産市場が依然として少数の大規模取引所に高度に集中している点にも言及。こうした市場構造では、流動性と取引効率が支配的なプレーヤーに有利に働き、参入障壁が残ることで既存事業者の地位が固定化されやすいことが明らかになったとしている。

このほか、デジタル資産デリバティブの導入も主要な改善課題として挙げられた。研究陣は、デリバティブが現物取引中心の市場構造に変化をもたらし、取引所間の競争構図を再編する可能性があると評価。さらに、法人名義口座によるデジタル資産取引を認めることで、国内市場への資本流入を促すべきだと提言した。市場規模が拡大すれば、流動性格差の緩和や取引効率の向上を通じて、独占構造の弱体化につながるとしている。

金融当局も、こうした分析を踏まえ、いわゆる「デジタル資産基本法(第2段階法案)」を通じて取引を制度圏に組み込みつつ、市場萎縮を防ぐため一部規制を緩和する方向で検討を進めている。ただし、海外取引所の韓国市場参入や、国内取引所の海外展開については、事業者保護や監督上の限界を理由に、当面の検討対象からは除外されたという。

国会でもデジタル資産市場の活性化に向けた機運が高まっている。与野党ともに制度化の必要性では一致しているものの、過度な規制による取引縮小を警戒する声も強く、一部領域での規制サンドボックス適用など、柔軟な制度設計案が議論されている。

韓国政府・与党は現在、デジタル資産基本法の細部調整を進めているが、取引所の大株主規制を巡ってはなお意見の隔たりが残っている状況だ。

こうした中、韓国では1月15日、トークン証券(セキュリティトークン)の導入および投資契約証券の流通を認める関連法改正案が国会本会議を通過した。

改正対象は「電子証券法」と「資本市場法」で、電子証券法の改正では、分散型台帳を法的効力を持つ証券口座簿として認め、トークン証券方式による証券発行を可能にする。一方、資本市場法の改正により、これまで流通が認められていなかった「投資契約証券」について、証券会社を通じた仲介取引が可能となり、非定型的なプロジェクト投資も他の有価証券と同様に流通対象となる。

これらの改正法は、公布後1年間の準備期間を経て、2027年1月(暫定)に施行される予定だ。金融委員会は法施行に向け、金融監督院や韓国預託決済院、金融投資協会、市場参加者などと連携し、「トークン証券協議体」を設置する計画としている。

参考:報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者