コスモス開発者、「Cosmos Hub」へのEVM実装を中止し戦略転換

コスモスの開発戦略が大きく転換

コスモス(Cosmos)エコシステムでの開発を主導するインターチェーンラボ(Interchain Labs)が、コスモスハブ(Cosmos Hub)上でのEVM(イーサリアム仮想マシン)実装計画を中止し、開発戦略を転換することを7月17日に発表した。今後は主権的なL1ブロックチェーン構築とサービスマーケットプレイス機能に注力するという。

今回の決定は、同社が過去6ヶ月間にわたって3つの主要テーゼを検証した結果によるものだ。その3つは、「L1ブロックチェーンに対するサービス提供」、「EVM互換のL1ブロックチェーン需要への対応」、「コスモスハブ上での独自VM実装」だ。

インターチェーンラボはこの3つを検証し、最初の2つについては強力な支持を確認したが、3つ目については期待したほどの成果が得られなかったとのこと。

インターチェーンラボの共同CEOであるバリー・プランケット(Barry Plunkett)氏は、タウンホールでの説明で「我々は崖に向かっていることに確信を持った」と述べ、EVM実装がリソースを分散させすぎていたことを認めた。コストの上昇や急速に分断化するブロックスペース市場において、汎用コントラクトプラットフォームとしての競争は持続困難と判断したという。

そして新たな戦略では、コスモスハブはスマートコントラクトをホスティングするのではなく、IBC(Inter-Blockchain Communication)プロトコルを通じたブリッジサービスや取引所アクセス、オラクルなどのサービスマーケットプレイスとして機能するとのことだ。

また「IBC Eureka」などのソリューションを通じて、IBCネットワークの拡大とともにコスモスハブとスタックが提供するサービスへの需要を高めることを目指しているという。

同社によると、中央銀行、SWIFT(国際銀行間通信協会)、トキ(Toki)、プログマ(Progmat)、オンド(Ondo)、バビロン(Babylon)、リップル(Ripple)、タック(TAC)などのWeb2機関やWeb3チームがコスモスのL1スタックを積極的に採用しているという。日本の銀行連合がコスモスとIBCを使用してデータや資産を転送し、SWIFTと協力してシームレスなSWIFT-IBCブリッジを提供しているとの事例も紹介された。

この戦略転換により、ハブ上でのアプリ展開を準備していたビルダーチームへの影響が懸念されるが、同社は他のコスモスチェーンへの移行支援や既存の資金提供コミットメントの継続などでサポートを提供するとしている。また「CosmWasm(コズモワズム)」の維持については、ニュートロン(Neutron)とドロップ(Drop)の開発者であるハドロンラボ(Hadron Labs)が引き続きサポートするという。

インターチェーンラボの共同CEOであるマグマー(Magmar)氏は「我々は他の誰かになろうとしているのではない。我々はコスモスになる、ただしそれをオーバードライブで行う」と述べ、コスモスの独自性と強みに焦点を当てる姿勢を強調した。

同社は今後6ヶ月間で10年間持続する戦略への信頼を得ることを主要目標とし、早期段階のスタートアップのようなアプローチで迅速な適応を続けるとしている。

なお同社は、コスモスEVMのL1スタック開発は継続し、主権的なEVMチェーンの立ち上げを支援するビルダー向けに投資を続けると表明している。リップル、TAC、バビロンなど複数のチームがすでにこの実装を使用して構築を進めており、今年後半にはリローンチ版v1がリリースされる予定だ。

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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