テレグラム内ウォレット開発の「TOP」がユニコーンに、シリーズA28.5Mドル調達で

TOPの企業評価額10億ドルに

暗号資産(仮想通貨)ウォレット「ウォレットインテレグラム(Wallet in Telegram)」を開発するオープンプラットフォーム(The Open Platform:TOP)が、シリーズAラウンドで2,850万ドル(約41.4億円)を調達した。TOPが7月3日、米フォーチュン(Fortune)誌の報道を引用する形でX上で発表した。

「ウォレットインテレグラム」は、メッセージングアプリのテレグラム(Telegram)内で利用できる暗号資産ウォレット。テレグラムが採用したパブリックブロックチェーン「TON(The Open Network)」上でも展開されている。

今回の資金調達により、TOPの企業評価額は10億ドル(約1,455億円)に達し、テレグラム上のWeb3エコシステムにおける初のユニコーン企業となったとのこと。この調達はリビットキャピタル(Ribbit Capital)が主導し、パンテラキャピタル(Pantera Capital)も参加したとのこと。

フォーチュン誌によれば、今回の資金調達は株式の約5%に対して行われ、暗号資産の割当は含まれていないという。またTOPの創業者兼CEOであるアンドリュー・ロゴゾフ(Andrew Rogozov)氏は、これまで複数のラウンドを通じて同社が累計7,000万ドル(約101.7億円)以上を調達していることを明かした。

なおロゴゾフ氏によると、シリーズAにおいてリビットキャピタルが約4%、パンテラキャピタルが約1%の株式を取得したという。

またTOPの初期出資者にはVyキャピタル(Vy Capital)や、ロシア出身の投資家ドミトリー・エレメエフ(Dmitry Eremeev)氏が含まれるとのこと。

さらにアブダビの商業登記情報によれば、キングスウェイキャピタル(Kingsway Capital)や、ブレバンハワード(Brevan Howard)デジタル資産部門のポートフォリオマネージャーを務めるケビン・フー(Kevin Hu)氏も出資しているとのことだ。

「TON」運営のTON財団(TON Foundation)は7月5日、トンコイン(TON)をステーキングすることでアラブ首長国連邦(UAE)で10年有効な「ゴールデンビザ(golden visa)」を取得できる取り組みを発表した。

この取り組みでは、10万ドル(約1,454万円)相当のトンコイン(TON)を3年間ステーキングし、3万5,000ドル(約509万円)の手数料を支払うことで「ゴールデンビザ」を取得できるとされていた。トンコインは、「TON」のネイティブトークンである。

しかし7月7日、UAEの規制当局である証券・商品委員会(SCA)、ドバイ暗号資産規制機関(Dubai Virtual Asset Regulatory Authority:VARA)、連邦識別・市民権庁(Identity, Citizenship, Customs and Port Security:ICP)の3機関は共同声明を発表し、TON財団の主張を正式に否定した。

声明の中で、「ゴールデンビザ」は不動産投資家や起業家などに限定されており、暗号資産の保有は対象外とした。また「TON」はVARAの規制対象でないことも明記された。

この件に関してバイナンス(Binance)の創業者で前CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏も7月6日、「もし本当なら素晴らしいです。しかし今のところ矛盾する情報があります」とXで指摘した。

なおTON財団は7日、「ゴールデンビザ」を巡る問題の発生後に新たにマーケティング担当副社長(VP)職の募集を開始した。募集内容には、ティックトック(TikTok)やインスタグラム(Instagram)、ユーチューブ(YouTube)の動画コンテンツ制作や発信も業務に含まれているとのことだ。

参考:フォーチュンUAE政府TON財団
画像:iStocks/Yellow duck

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。