米連邦判事、SEC訴訟に対するコインベースの棄却申し立て却下

訴訟続行へ

米ニューヨーク・マンハッタンの連邦判事が、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)と米証券取引委員会(SEC)の訴訟について続行する判決を下した。3月27日付けの判決文にて明らかとなった。

SECは昨年6月にコインベースを提訴し、コインベースはソラナ(Solana)、カルダノ(Cardano)、ポリゴン(Polygon)を含む少なくとも13の暗号資産の取引を仲介しており、これらは証券として登録されるべきだったと主張していた。

SECはまた、コインベースのステーキングプログラム(ブロックチェーンネットワーク上での活動を検証するために資産をプールし、顧客への報酬と引き換えに手数料を取るプログラム)も訴訟の対象とし、同プログラムはSECに登録されるべきだったと主張していた。

コインベースは、SECの主張に反発し訴訟を棄却するよう申し立てていた。

キャサリン・ポーク・ファイラ(Katherine Polk Failla)判事は今回、コインベースの棄却申し立てを却下した。

ファイラ判事は、コインベースが連邦証券法の下で取引所、ブローカ、そして清算機関として運営され、ステーキング・プログラムを通じて無登録の証券売買を行っていることをSECが十分に主張したと述べている。

一方でファイラ判事は、コインベースが顧客にウォレットアプリケーションを提供した際、無登録ブローカーとして運営していたというSECの訴えを却下している。

コインベースの最高法務責任者のポール・グレワル(Paul Grewal)氏は自身のXにて3月27日、「本日、裁判所は私たちのSEC訴訟のほとんどの請求を進展させると決定しましたが、コインベースウォレットに対する請求は棄却された」と報告。「私たちはこの事態に備えており、暗号資産規制に関するSECの内部見解や議論について、さらに明らかにしていくことを楽しみにしている」と伝えている。

なおグレワル氏は「また、コインベースウォレットのようなテクノロジー・イノベーションは米国の証券取引法には関係なく、また関係し得ないという裁判所の理解も高く評価する」と付け加えている。

また、同社CEO兼共同創設者のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は、「SECの裁判に大きな進展があり、セルフカストディアルウォレットに大きな勝利がもたらされた。これにより、オンチェーン・エコシステムは世界中で革新を続け、経済的自由を創出し続けることができる。私たちは、暗号資産を使用する権利のために、そしてルールを明確にするために、仕事が終わるまで戦い続ける」と述べている。

今後同訴訟は裁判に進むことになる。コインベースとSECは、2024年4月19日までに訴訟管理計画案を提出しなけれならない。

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参考:判決文
images:iStock/ablokhin

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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