米裁判所、「流通市場での特定の暗号資産取引は有価証券取引にあたる」との見方示す

流通市場での特定の暗号資産の取引は証券取引

米裁判所が、大手暗号資産(仮想通貨)取引所のような流通市場(セカンダリーマーケット)での特定の暗号資産の取引は証券取引であるとの裁定を下した。

米コインベースグローバル(Coinbase Global)の元プロダクトマネージャーのイシャン・ワヒ(Ishan Wahi)氏と同氏の弟であるニキル・ワヒ(Nikhil Wahi)氏、そしてその友人サミール・ラマニ(Sameer Ramani)氏が関与したインサイダー取引事件の裁判の判決が3月1日に下され、その中で米裁判所が同見解を示した。

裁判所は「ラマニ氏がトークンを流通市場で取引していたとしても、裁判所の判断は変わらない」とし、「それぞれの発行者は、トークンが流通市場で取引されている間にも、トークンの収益性に関してそのような表現を続けていた」とし、 「したがって、ハウィー法(Howey)のもとでは、ラマニ氏が購入し取引したすべての暗号資産は投資契約であった」と裁定している。

裁判所による同声明は、被告が出廷しなかった場合や召喚に応じなかった場合に出される不履行判決だ。提出書類には、「ラマニ氏は、本件で主張されている行為に対する刑事訴追を避けるために国外に逃亡したようだ」と記されている。

裁判所はラマニ氏に対し、今後の違反行為を禁止し、同氏が得たとされる収益の2倍にあたる合計1,635,204ドルの民事罰を科し、特定された収益817,602ドルを没収する判決を下している。

なお米証券取引委員会(SEC)は、事件時から和解時までの利息(prejudgment interest)を課すことを裁判所へ求めたが、裁判所はこれを却下している。

コインベースをはじめ、暗号資産業界の大半は、多くの暗号資産は証券ではなく、証券の定義を満たさないものはSECの管轄下ではないと主張している。一方、SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、暗号資産の大部分が証券であり、暗号資産取引所はSECに登録する必要があると一貫して主張している。

イシャン・ワヒ氏とニキル・ワヒ氏は昨年5月、SECと和解することに合意している。

SECは声明にて、両氏が少なくとも9銘柄におよぶ暗号資産について、コインベースの取扱い発表に先立ち違法に取引(インサイダー取引)を行った民事責任を解決することに合意したと発表していた。

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参考:書類
images:iStocks/gorodenkoff

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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