テラフォームラボが米国でチャプター11を申請、負債は約148億円以上か

負債は最大で約740億円の可能性も

2022年5月に暴落した暗号資産(仮想通貨)「テラ:Terra(LUNA:ルナ)」の発行元であるテラフォームラボ(Terraform Labs)が、米国デラウェア州連邦破産裁判所へチャプター11(連邦破産法第11条)を1月21日に申請した。裁判所のウェブサイトで確認できる。

提出書類によれば、同社の負債は1億~5億ドル(約148億~約740億円)だという。また推定保有資産も同額の項目にチェックマークが入れられている。

また同社株式は、同社創設者のド・クウォン(DoKwon)氏が92%を、もう1人の共同創設者であるダニエル・シン(Daniel Hyunsung Shin)氏が8%を保有している。

ちなみに同社は現在、米証券取引委員会(SEC)と裁判中だ。これはSECが同社を証券詐欺指揮の罪で提訴したことから始まっている。昨年12月には裁判所がSECへ有利な略式判決を下している。

ド・クオン氏が立ち上げたテラフォームラボは、暗号資産「LUNA」とアルゴリズム担保型米ドルステーブルコイン「テラUSD:TerraUSD(UST)」を発行していた。

テラUSDは、法定通貨の価格に連動する「ステーブルコイン」としてかつては世界の暗号資産上位10位内に入っていたが、2022年5月に1USD=1USTのペッグが崩壊し暴落。USTとLUNAは無価値となり、世界の投資家の間で総額420億ドルの損失が発生したとの試算もあり、テラフォームラボとクオン氏は投資家らから詐欺容疑で集団訴訟を起こされていた。その後インターポールの手配リストにもクオン氏は掲載された。

2022年6月に韓国捜査当局がテラプロジェクトの関係者に出国禁止令を出し、同年9月には、韓国の裁判所がド・クオン氏を含む6人に逮捕状を発布。

昨年3月23日には、ド・クオン氏と同氏の側近とされるホン・チャンジュン(Hon Chang Joon)氏が、ドバイ行きのフライトのパスポート審査で偽造パスポートを使用したとして、文書偽造の犯罪容疑でモンテネグロの空港にて逮捕。モンテネグロの裁判所は6月、ド・クオン氏とホン・チャンジュン氏に懲役4カ月の実刑判決を下している。

クオン氏の身柄は現在、米国、韓国のどちらに送致するかをモンテネグロの控訴裁で審理中だ。

なおダニエル・シン氏は韓国での逮捕を免れている。韓国現地当局は同氏の逮捕を試みたが、ソウル南部地方裁判所はその要求を拒否。その理由は、同氏の逃亡・テラ崩壊関連の証拠隠蔽の可能性が低いことであった。

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参考:提出書類
images:iStock/taa22

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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