シンガポール、日・スイス・英の規制当局と連携しデジタル資産の試験運用へ

デジタル資産トークン化で協力

シンガポール金融管理局(MAS)が、日本の金融庁、スイスの金融市場監督庁(FINMA)、英国の金融行為監督機構(FCA)と連携し、デジタル資産の試験運用する予定だと10月30日発表した。

MASはこの連携を通じて、債券・外国為替・資産管理商品のトークン化に関する試験運用(パイロットテスト)を計画している。

なおMASは2022年に官民連携イニシアチブ「プロジェクト・ガーディアン(Project Guardian)」を立ち上げている。

同イニシアチブでは、ホールセールの資金調達市場の効率化と流動性向上を目的とした、トークン化債券・預金の機関投資家間での取引可能性などを検討している。

なお今年6月には金融庁が、同イニシアチブにオブザーバーとして参加することを発表している。

そして今回の連携では、金融庁、FINMA、FCAが同イニシアチブの政策立案者グループを構成することになるという。

MASは、政策立案者グループが構成された理由として、試験運用規模の拡大・高度化に伴い、政策立案者と規制当局の間で国境を越えたより緊密な協力が必要となことを挙げている。

政策立案者グループで行われること

政策立案者グループでは次の事項に焦点を当てるという。

・デジタル資産の法的、政策的、会計的取り扱いに関する議論を深めること。
・既存の政策や法律におけるトークン化されたソリューションに関する潜在的なリスクやギャップを特定すること。
・デジタル資産ネットワーク設計のための共通基準と、暗号資産市場におけるベストプラクティスを開発すること。
・国境を越えたデジタル資産開発支援のために、高水準での相互運用性を促進すること。
規制のサンドボックス制度を通じたデジタル資産の業界試験の促進及び規制当局と業界間の知識共有を促すこと。

MASの副専務理事であるレオン・シン・チオン(Leong Sing Chiong)氏は「MASのFSA、FCA、FINMAとのパートナーシップは、デジタル資産のイノベーションから生じる機会とリスクについての理解を深めたいという政策立案者の強い要望を示している。このパートナーシップを通じて私たちは、国境を越えた相互運用性とデジタル資産エコシステムの持続可能な成長をよりよくサポートできる共通の基準と規制の枠組みの開発を促進したい」と述べている。

「プロジェクト・ガーディアン」では昨年11月、ホールセール市場におけるDeFi(分散型金融)の応用を検証する為の試験運用が実施されている。この試験運用では、トークン化されたシンガポール国債、日本国債、日本円、シンガポールドルの流動性プールを対象として、DeFi上で為替取引および国債取引が実行された。

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参考:MAS
images:iStocks/TkKurikawa

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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