米SEC、スマートコントラクト監査のQuantstampを無登録ICOで告発

SECがクオントスタンプを告発

米証券取引委員会(SEC)が、無登録でICO(イニシャルコインオファリング)をしたとして、スマートコントラクト監査会社のクオントスタンプ(Quantstamp)を告発したことを7月21日発表した。なおICOは、新規の暗号資産(仮想通貨)の公開のこと。トークンセールなどとも呼ばれ、企業や団体などが独自の暗号資産トークンを発行して、資金調達を行う。

発表によれば、クオントスタンプは2017年10月と11月に、米機関投資家を含む約5,000人の投資家に暗号資産「クオントスタンプ:Quantstamp(QSP)」トークンを販売し、2800万ドル(約3.9億円)以上を調達。ICOで得た収益は、自動スマートコントラクト・セキュリティ監査プラットフォームの開発・販売に充てると募集要項にて説明されていた。

この際にクオントスタンプは、開発を計画していたセキュリティ監査製品の潜在的市場性を強調したという。クオントスタンプは「QSP」トークン購入者に対し、トークン価値が上がることを期待させ、ICO後にトークンを第三者のデジタル資産取引プラットフォームで取引できるようにする手段に出たと、SECは「ハウィーテスト」に倣って判断している。

なお「ハウィーテスト」は、米国において特定の取引が、証券取引の定義の一つである「投資契約」に該当するかどうかを判定するテストである。

またSECは、クオントスタンプは「QSP」トークンの募集・販売の登録を怠っていたと指摘。「QSP」トークンについては、有価証券であるとSECはみなしている。

クオントスタンプはSECの調査結果を認めることも否定することもなく、排除措置命令と1979,201ドル(約2.7億円)の制裁金、494,314ドル(約6,923万円)の予見利息、100万ドル(約1.4億円)の民事罰の支払いに同意したという。

またクオントスタンプの支払った金銭は、損害を被った投資家らに返還するための公正基金設立に充てられるという。

クオントスタンプはまた、保有する「QSP」トークンを公正基金管理者に移管し、トークンを 「永久に無効化または破棄 」することにも同意したとのことだ。

またSECは発表にて、クオントスタンプが2019年6月に完成させた自動スマートコントラクト・セキュリティ監査プラットフォームをもはや運営しておらず、積極的にサポートしていないことについても言及している。

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参考:SEC 告発文
デザイン:一本寿和
images:iStocks/gtaa22

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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