イーサリアムL2「zkSync」、新証明技術「Boojum」をメインネットで稼働開始

「zkSync」が新たな証明技術「Boojum」を発表

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2スケーリングソリューション「zkSync(zkシンク)」が、新たな証明技術「ブージャム(Boojum)」を「zkSync Era(zkシンクエラ)」のメインネット上で稼働開始した。7月17日に公式ブログにて発表されている。

発表によると「ブージャム」は、「zkSync Era」開発元マターラボ(Matter Labs)による「ハイパーチェーン(Hyper Chain)」構想の実現のため、今後必要となる大容量かつほぼリアルタイムなトランザクションの証明のサポートを目指し設計されているという。この設計ではこれまでの証明技術と比べ、証明作成のパフォーマンスを向上させているとのことだ。

なおこれまで「zkSync Era」は、同ネットワークの前バージョンにあたる「zkSync Lite(zkシンクライト)」で採用していたものと同様の証明技術を採用していたとのこと。

また「ブージャム」では分散性の向上を目指し、証明の作成に必要なソフトウェア実行に必要なハードウェアのスペックを削減することにも成功したとのことだ。

発表によるとこの新しい証明技術により、ユーザーはVRAM(GPUに搭載されているメモリ)が16GBのコンピューターでソフトウェア実行が可能になったという。これは家庭用のマシンとして流通しているマシンレベルである。

ちなみに競合のプロジェクトのネットワークでは、通常家庭用のコンピューターで実行できることはなく高価な業務用ハードウェアを必要とすることが多い。

「ハイパーチェーン(Hyper Chain)」構想は、「zkSync Era」を開発するマターラボ(Matter Labs)が6月にオープンソースフレームワーク「ZKスタック(ZK Stack)」をリリースし、同時に発表した構想だ。「ZKスタック」を採用したブロックチェーンのシームレスな相互運用ネットワークを作成するというものである。

なお「zkSync Era」は、以前「zkSync2.0(ジーケーシンク2.0)」として開発されていたイーサリアムL2ネットワークだ。ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)活用の「ZK Rollup(ジーケーロールアップ)」採用により、レイヤー1であるイーサリアムのスケーリング向上とセキュリティ設計を継承している。

同ネットワークは今年3月にメインネットアルファ版がリリースされ、現在ではアービトラム(Arbitrum)とオプティミズム(Optimism)に続きL2ネットワークの中では3位のTVL(総預かり資産額)となっている。

関連ニュース

    参考:zkSync Era
    デザイン:一本寿和
    images:iStocks/sandipruell

    関連するキーワード

    この記事の著者・インタビューイ

    田村聖次

    和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

    合わせて読みたい記事

    【5/10話題】ドコモがweb3サービスを海外展開、SBI VCトレードがXRPレジャーのバリデータになど

    ドコモがweb3サービスを海外展開か、新会社設立も=報道、SBI VCトレード、「XRPレジャー」のバリデータに、メタプラネットがビットコイン追加購入を報告、合計保有数117.7217BTCに、カナダ当局、バイナンスにマネーロンダリング違反で438万ドルの罰金、バイナンスローンチプール、テレグラムのゲーム内通貨「Notcoin(NOT)」取扱開始へ、バイナンスジャパン、SAND/ETHの取引ペア廃止、米下院、SECの暗号資産会計ルール「SAB121」無効化を決議、ホワイトハウスは法案に拒否の姿勢、バイナンス、VIP顧客「DWF Labs」の市場操作疑惑報道を否定