Webアプリと拡張機能による二層構成
プライバシー重視の暗号資産ジーキャッシュ(Zcash:ZEC)向けの新たなブラウザウォレット「ジリオンズ(Zillions)」が10月27日に公開された。アノマ(Anoma)の技術を基盤とし、透明送金とシールド(秘匿)送金の両方に対応するほか、複数アカウントの管理やハードウェアウォレット「レジャー(Ledger)」との連携機能を備える。
Zcash公式Xアカウントも同日、Zillionsを紹介し、ユーザーに機能の試用とフィードバックを呼びかけた。Zillionsの開発チームは、Zcashに不慣れな一般ユーザーでも利用しやすいウォレットを目指したと説明している。
Webアプリと拡張機能による二層構成
Zillionsは、ブラウザ上で動作するWebアプリと、鍵やアカウントを管理する拡張機能「ジリオンズ・キーチェーン(Zillions Keychain)」で構成される。Webアプリ本体のインストールは不要で、Chrome、Firefox、Braveなどの主要ブラウザでの利用が想定されている。
Keychainでは、新しい鍵の作成や既存の鍵のインポート、ハードウェアウォレットの接続が可能だ。複数のアカウントやシードフレーズを管理でき、Webアプリ上で利用するアカウントを切り替えられる。
セキュリティ面では、ブラウザのサンドボックス機能を活用する設計を採用した。端末のroot権限や管理者権限を必要とせず、ローカルファイルへのアクセスや端末全体の制御を伴わずに動作するという。
ハードウェアウォレットは公開初日からLedgerに対応すると発表された。ユーザーはLedgerに紐づくアカウントを利用でき、送金時には署名前に端末上で取引内容を確認する仕組みだ。また、キーストーン(Keystone)への対応も公開翌週に予定されている。
シールド送金に対応、同期時間の短縮も図る
Zillionsでは、透明残高とシールド残高を区別して表示し、取引履歴にも種類ごとのラベルを付ける。送金時にはシールド送金を選択できる。
取引処理の高速化に向けては、マルチコアを活用したクライアント側でのゼロ知識証明生成を採用した。証明生成をユーザーの端末内で実行しながら、迅速な支払い体験を目指す。
アカウントの同期には「Shielded Sync」と呼ばれる技術を採用している。開発チームによると、一般的なインターネット回線に接続した軽量ノートPCを使用し、古いアカウントでも30秒未満で同期できたという。ただし、同期時間は利用環境などによって異なり、公式サイトでは数分程度と案内されている。
Zconnectによるウォレット接続の標準化も提案
Anomaの研究フォーラムでは、Zillionsの公開に先立つ7月23日、Zcashのブラウザウォレット接続を標準化する「Zconnect」が提案されていた。
同提案は、Webアプリがウォレット拡張機能に署名を依頼するためのインターフェースを定義するものだ。最初の採用候補としてZillionsを挙げており、部分的に作成された取引を表す「PCZT」形式を利用する設計が示されている。
この構成では、Webアプリ側がゼロ知識証明の生成を担い、署名処理は拡張機能側で行う。ハードウェアウォレットを含む複数の参加者間で取引データを受け渡すことも想定されている。
Zcash向けウォレットには、すでにモバイルアプリ「ゾドル(Zodl、旧Zashi)」がある。Zodlは、受け取った透明ZECをワンタップでシールド化する機能やKeystone連携に対応するほか、送金側がシールドZECで支払い、受取側がBTCやステーブルコインを受け取れる「CrossPay」も提供している。
今回のZillions公開により、ブラウザ上でZECを管理するウォレットの選択肢が増える。
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— Zillions (@zillions_app) October 27, 2026
参考: 報道・Anoma Research Forum:Zconnect as a standard Web wallet interface for Zcash・Zakura・ Zcash Foundation
画像:PIXTA