サークル、約40の新興国・発展途上国への進出を計画。USDCの世界展開を加速へ=報道

サークルが約40市場への事業拡大を計画

米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を発行する米サークル(Circle)が、世界の約40の新興国・発展途上国への事業拡大を計画しているようだ。同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏が「ロイター(Reuters)」の取材で明らかにした。同メディアが10月16日に報じた。なお、同社は東南アジア、中南米、アフリカ、中東などを中心に進出を目指すというが、具体的な国や時期は明らかになっていない。

アレール氏は、タイのバンコクで開催された国際通貨基金(IMF)と世界銀行の会合に合わせて取材に応じた。同氏によると、東南アジアなどの新興国では、インターネットを通じた経済活動への参加を求める個人や企業の間で、ステーブルコインやデジタルサービスへの需要が高まっているとのことだ。また、同氏はブロックチェーン技術が初期利用者を中心とした導入段階から、一般社会での大規模な普及段階へ移行しつつあるとの見方を示した。

USDCはブロックチェーンを通じて国境を越えて移転できる。一方、USDCを現地通貨に交換して取引先の銀行口座に送金するには、各国の金融システムとの接続が必要となる。そのため、現地の銀行や決済事業者との連携が、USDCを利用した国際決済の普及を支える重要な要素となる。

こうした決済インフラの拡充に向け、サークルは9月、シンガポールの国際決済企業タザペイ(Tazapay)の買収契約を締結した。買収対価は約4億ドル(約632億円)相当のサークル株式で、規制当局の承認などを条件に2027年の買収完了を見込む。

タザペイは企業向けの国際決済サービスを提供しており、60以上の銀行・フィンテック企業と提携している。また、100以上の市場に対応する現地向け送金ネットワークを持つ。サークルは買収を通じて、USDCを利用した国際決済と各国の金融システムとの接続を強化する狙いだ。

また、サークルは9月、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)との提携拡大も発表した。両社は新興国市場でのUSDCの普及を目的とする5年間の商業契約を締結し、バイナンスはサークルに1億ドル(約158億円)を株式出資した。バイナンスは自社プラットフォームでUSDCの利用を促進し、サークルはUSDCの保有や利用を支えるインフラサービスを提供する。

さらに、サークルは10月16日に公開した公式ブログで、USDCの流通を支える事業基盤について説明した。同社は世界で55件以上のライセンス・登録を保有し、25行以上の銀行と提携している。また、USDCの保有残高の拡大に貢献する流通パートナーには、その残高に対応する準備資産の運用収益の一部を分配している。

サークルが発行するUSDCの2026年第2四半期末の流通額は733億ドル(約11兆5,809億円)で、前年同期比19%増加した。ロイターによると、世界のステーブルコイン市場ではUSDCが約25%のシェアを占める。一方、競合するテザー(Tether)が発行する「USDT」は約60%を占めている。

また、ステーブルコインの普及を後押しする要因として、アレール氏は規制の明確化も挙げた。米国では、ステーブルコインの発行体の要件や準備資産の管理などを定めるジーニアス法(GENIUS Act)が成立しており、2027年1月の施行が見込まれている。アレール氏は、同法によって法的な枠組みに基づくデジタルドルが世界で利用できるようになると述べ、歴史的な転換点になるとの認識を示した。

こうした規制整備が進むなか、米国や欧州では銀行グループも独自のステーブルコインやデジタル資産関連サービスの開発を進めている。アレール氏は、こうした動きを健全な競争の兆候と評価した。

参考:ロイター・サークル
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。