新規制制度導入に向け意見公募開始
オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が、デジタル資産関連の新たな規制制度の導入に向け、実務指針と各種基準の案を公表し、意見公募を10月15日に開始した。ASICの発表によると、新制度は2027年4月8日に施行される予定だ。意見公募の期限は11月27日午後5時(豪東部夏時間)となっている。
今回の規制対象となるのは、顧客に代わってデジタルトークンを保有し、取引などの関連サービスを提供する「デジタル資産プラットフォーム(DAP)」と、顧客のために保有する裏付け資産をデジタルトークンとして記録する「トークン化カストディプラットフォーム(TCP)」だ。
ASICが公表した協議文書「CP 392」は、2026年に成立した「会社法改正(デジタル資産フレームワーク)法(DAF法)」に基づく新制度への対応方針を示すものだ。
同文書には、新法の遵守方法に関する指針の草案に加え、顧客資産の保管、取引・決済に関する基準案、ライセンス保有者の財務要件案などが盛り込まれている。これらの基準は現時点では提案段階にあり、意見公募を経て内容が変更される可能性がある。
ASICは2026年4月に新制度の導入に向けたロードマップを公表しており、今回の協議はその具体化にあたる。
AFSライセンスの取得・変更を求める
ASICの指針案によると、新制度の規制対象となるDAPやTCPの運営事業者は、原則としてオーストラリア金融サービス(AFS)ライセンスの新規取得、または既存ライセンスの認可範囲の変更が必要となる。
なお、対象となる既存事業者には、2027年10月7日までにライセンスの新規取得または認可範囲の変更を申請する移行期間が設けられている。期限内に申請した事業者は、ASICによる審査中も営業を継続できる。
また、事業者には顧客向けの開示書類やプラットフォーム規則の整備などが求められる。
指針案では、DAPやTCPの運営事業者だけでなく、既存のAFSライセンス保有者、市場参加者、決済サービス事業者など、デジタル資産を取り扱う既存事業者への新制度の適用についても説明している。
ASICは新制度への円滑な移行に向け、既存のAFSライセンス保有者や、従来のガイダンス「INFO 225」に基づいて認可を申請した事業者を対象に、DAPやTCPの認可を追加する際の手続きを簡素化する方針も示した。
「同じ活動、同じリスク、同じ規制結果」の原則
ASICのアラン・カークランド(Alan Kirkland)委員は、今回の指針案について、従来の金融システムを含む幅広い分野でデジタル資産やトークン化の重要性が高まっていることを踏まえたものだと説明した。
同委員は、「同じ活動、同じリスク、同じ規制結果(same activity, same risk, same regulatory outcome)」の原則に基づき、オーストラリアの規制を主要な海外法域のアプローチと整合させる方針を示した。
また、DAPやTCPを金融サービス規制の枠組みに組み込むことで、消費者がより安心してデジタル資産を取引できるようになると指摘。イノベーションや投資、成長の促進と、消費者保護の両立を目指す考えを強調した。
ASICは今回の提案の策定にあたり、早い段階から業界関係者と意見交換を進めてきたという。意見公募期間中もイベントや円卓会議などを通じて関係者との協議を継続する方針だ。
また、政府が並行して進める規制制度の設計についても協議文書で言及し、業界関係者が将来の規制の全体像を把握できるようにしたとしている。
これまでの規制対応と移行措置
ASICはこれまで、既存の金融サービス法がデジタル資産や関連商品にどのように適用されるかを示すガイダンス「INFO 225」を整備してきた。
2025年10月には同ガイダンスを改訂するとともに、一定の条件を満たすデジタル資産関連事業者に対し、ライセンス要件に関する規制上の措置を一時的に見送る「ノーアクション」措置を導入した。
その後、2026年6月には同措置の適用範囲や条件を明確化・拡大し、措置の適用を受けるためのライセンス申請などの期限を同年9月30日まで延長していた。期限内に申請した事業者は、一定の条件下で審査中も措置の対象となる。
ASICによると、デジタル資産関連の金融サービスを提供しようとする事業者からの認可申請は、これまでに140件を超えた。このうち110件以上は、2025年10月から2026年9月30日までに、「INFO 225」の改訂を受けて提出されたという。
ASICは今後、寄せられた意見を踏まえて指針や各種基準の最終化を進める方針だ。
参考: ASIC (26-245MR)・ ASIC consultation paper – 392
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