スタークウェア、ポリマーケット向けプライバシー保護サービス「オフマーケット」を一般公開

スタークウェア、オフマーケットを一般公開

ブロックチェーン技術開発企業スタークウェア(StarkWare)が、予測市場プラットフォーム「ポリマーケット(Polymarket)」向けのプライバシー保護サービス「オフマーケット(OffMarket)」を一般公開したようだ。米暗号資産(仮想通貨)メディア「ザ・ブロック(The Block)」が10月14日に報じた。

同サービスでは、利用者の既存ウォレットと取引履歴を第三者から結び付けにくくしながら、ポリマーケットの既存市場で取引できるとのこと。オフマーケットは8月から限定的に提供されていたが、今回、一般利用者向けに公開されたとのことだ。

ポリマーケットは、選挙や経済指標など、将来の出来事の結果を予測し、その結果に応じて取引できるサービスだ。同サービスの取引はブロックチェーン「ポリゴン(Polygon)」に記録され、誰でもウォレットごとの取引履歴や保有ポジションを確認できる。ウォレットのアドレス自体に実名は記録されないものの、所有者が特定されれば、その人物の取引状況を第三者が把握できる可能性がある。

オフマーケットは、こうした課題に対応するため、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ネットワーク「スタークネット(Starknet)」のゼロ知識証明技術を活用している。ゼロ知識証明は、情報の内容を明らかにせずに、その情報が正しいことを証明できる技術だ。

具体的には、利用者が預け入れた資金を、複数の利用者が共用する「プライバシープール」で管理する。さらに、取引ポジションごとに新たなウォレットを生成し、ポリマーケットに注文を出すことで、資金の預け入れ元と取引履歴の関連付けを難しくする。注文はポリマーケットの既存の注文板で処理されるため、通常の利用者と同じ価格や流動性で取引できる。

ただし、オフマーケットは取引そのものを非公開にするサービスではない。ポリマーケット上の取引内容や数量、価格などは引き続き公開される。スタークウェアの広報担当者は、取引金額やタイミングなどから利用者が推測される可能性は残ると説明した。

利用条件については、現在、1アカウント当たりの入金上限が米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」で1,000USDCに設定されている。スタークウェアは今後、利用状況や需要に応じて上限を調整する方針だ。また、取引の執行には約1分、資金の引き出しには数分かかる。手数料はポリマーケットの通常の取引手数料に加え、少額のネットワーク手数料が発生するとのことだ。なお、オフマーケットはポリマーケットの公式サービスではなく、正式な提携関係もない。利用地域にはポリマーケットと同様の制限が適用され、米国からは利用できない。

資産管理には、利用者自身が秘密鍵を管理する「非カストディアル方式」を採用している。秘密鍵は利用者のブラウザ内で管理され、預け入れた資金はスタークネット上のスマートコントラクトに保管される。スマートコントラクトは、あらかじめ設定された条件に従って自動的に処理を実行するブロックチェーン上のプログラムだ。スタークウェアによると、オフマーケットが停止した場合でも、利用者は署名情報を使って取引用ウォレットを復元できるという。

また、オフマーケットでは、法的な要請に応じて取引情報を開示できる仕組みも設けられている。独立したコンプライアンス企業ファイナンシャル・プライバシー(Financial Privacy Inc.:FPI)が情報閲覧用の鍵を管理し、裁判所や規制当局などから適法な請求があった場合に、必要な範囲の情報を開示する。なお、この鍵を使って利用者の資金を移動することはできない。

参考:オフマーケット・スタークウェア・オープンツェッペリン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。