米NYDFSとワイオミング州銀行当局、暗号資産監督でMOU締結

共同検査などで連携

米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)と米ワイオミング州銀行局(Wyoming Division of Banking)が、暗号資産(仮想通貨)およびデジタル資産事業者の監督で連携する覚書(MOU)を締結した。NYDFSが10月1日に発表した。MOUは9月23日に発効している。

発表によると、両当局はライセンス・認可、検査・監督、執行の各分野で連携する。両州にまたがって事業を行うデジタル資産関連企業について、規制当局間で情報や監督上の知見を共有し、審査や監督の効率化を図る。

なお今回MOUに署名したのは、NYDFSのケイトリン・アスロウ(Kaitlin Asrow)長官代行と、ワイオミング州の銀行コミッショナーであるジェレマイア・ビショップ(Jeremiah Bishop)氏だ。

ライセンス・認可に関しては、一方の当局からすでにライセンスや認可を受けている企業や、両当局に同時に申請する企業について連携する。

両当局は、申請に関する分析結果や個別分野の審査内容、過去の検査情報などを共有する。一定の条件を満たす既存の認可事業者については、審査を迅速化する仕組みも設ける。

MOUでは、一方の州で認可を受けた企業が、もう一方の州にも申請する場合、一定の条件の下で審査を迅速化する。企業は、認可を受けた州の当局の監督下で3年以上事業を行っている必要がある。申請時点で執行措置の対象となっていないことと、両州での事業内容が十分に類似していることも条件となる。

迅速審査では、申請日または既存の監督当局が過去の検査情報を送付した日のいずれか遅い日から、6カ月以内に最終判断を行うよう努めるとしている。

また検査・監督では、両当局からライセンスまたは認可を受けている企業について検査日程を調整し、可能な限り共同検査を行う。

共同検査を実施する場合には、共同の検査報告書を作成するか、それぞれが連携した上で個別の報告書を作成することなども想定されている。

このほか両当局は、検査・監督報告書や市場動向に関する情報を共有する。対象企業が執行措置を受ける可能性があると合理的に判断した場合には、相手当局への通知に努めるほか、調査情報や調査の進捗状況も共有する。

必要に応じて、両当局が共同または連携して執行措置を実施することもMOUに盛り込まれている。

アスロウ長官代行は今回のMOUについて、暗号資産分野では州をまたいだ協力が不可欠だとコメント。規制当局が利用できる情報やリソースを増やすことで、責任あるイノベーションを促進しながら、両州の消費者保護につなげる考えを示した。

またビショップ氏は、デジタル資産分野を主導する2つの規制当局が監督の実効性向上に向けて協力する事例だと説明。州を主体とする規制制度の強みを示すものだとの考えを示した。

NYDFSは2015年、暗号資産事業者向けの規制枠組み「ビットライセンス(BitLicense)」を導入している。

同局は、これを米国初の包括的な暗号資産規制枠組みと位置付けており、ニューヨーク州で事業を行う規制対象企業に対し、消費者保護や金融市場の保護、金融システムの安全性・健全性確保を目的とした監督を行っている。

参考:発表
画像:iStock/Tzido

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者