メタマスクでセキュリティインシデント発生、バリデータを予防的に退出

メタマスク、インフラの一部でセキュリティインシデント

暗号資産(仮想通貨)ウォレットなどを提供するメタマスク(MetaMask)が、自社インフラの一部に影響するセキュリティインシデントへの対応を進めていると9月30日に発表した。現時点でメタマスクウォレットに対する差し迫った脅威は確認されていないとのことだ。

メタマスクは現在、社内で問題への対応と修復を進め、外部のパートナーやセキュリティアドバイザーとも連携している。予防措置として、同社のステーキング事業で影響を受けたバリデータを退出させている。インシデントの原因や影響を受けたインフラの詳細、対象となるバリデータ数などは明らかにしていない。

バリデータは、イーサリアム(Ethereum)のブロック生成やトランザクションの検証に参加する役割を担う。今回メタマスクが進めているバリデータの退出は、こうしたネットワークの検証作業への参加を終了させる手続きとなる。

またメタマスクは、同社のステーキング事業はノンカストディアル型であり、顧客に代わってステーキングされたETHの出金キーを管理していないと説明している。出金キーは、ステーキングされたETHを出金するための権限に関わる情報だ。

Lidoで運用するバリデータも退出へ

リキッドステーキングプロトコル「ライド(Lido)」では、ユーザーがプロトコルに預け入れたETHを、複数のノードオペレーターが運用するバリデータを通じてステーキングしている。ユーザーはステーキングしたETHを表すトークン「stETH」を受け取り、DeFi(分散型金融)などで利用できる。

ライドのセキュリティ開示によると、今回の措置には、メタマスク・ステーキング(MetaMask Staking、旧Consensys Staking)がリドで運用するETHバリデータの退出も含まれる。メタマスク・ステーキングは、ライドでバリデータを運用するノードオペレーターの一つだ。

対象となるバリデータはすでに退出プロセスを開始しており、最後のバリデータは10月7日までに退出する見込みだ。ただし、この時点ですべてのETHの出金が完了するわけではない。ライドは、今回の対応に伴いstETH保有者が手続きを行う必要はないとしている。

対象となるバリデータのETHは、バリデータの退出とETHの出金を経て、段階的にライドで再びステーキングされる予定だ。一連のプロセスには、イーサリアムのバリデータ参入待ちの状況により、最大約45日かかる可能性がある。

また今回の対応では、バリデータの退出によって得られなくなるステーキング報酬が発生するほか、リスク低減のためバリデータをオフラインにした場合には、ダウンタイムによるペナルティが発生する可能性がある。

なおコンセンシス・ソフトウェア(Consensys Software:CSI)は今年9月、コンシューマー事業とプロトコル・機関向けインフラ事業を分離する計画を発表した。CSIは同一法人のまま「メタマスク」へリブランドし、メタマスクのプラットフォームやコンシューマー向け製品を運営する。一方、CSIのプロトコル・機関向けインフラ事業は新会社「コンセンシス(Consensys)」へ移行する予定で、分離完了は今年末を見込んでいる。

 

参考:メタマスク1・ メタマスク2・ライド
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。