世界初、ブロックチェーン活用治験で医薬品承認。サスメドのシステム採用

「SUSMED SDS」で治験データの照合作業を効率化

ブロックチェーン技術を活用した臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(SUSMED SDS)」を用いて治験が実施された医薬品について、製造販売承認が取得された。同システム開発元のデジタル医療の研究開発企業サスメドが9月16日に発表した。

ブロックチェーン技術を用いた企業治験の結果に基づく医薬品の承認取得は、世界初だという。医学文献や臨床試験のデータベースなどに基づくサスメドの調査によるものだ。

SUSMED SDSは、医療機関で取得する医療データと、患者ごとの試験データをまとめる症例報告書のデータを、ブロックチェーン技術で結び付けるシステムだ。改ざんが難しいという技術の特性を活用し、治験データの信頼性を確保しながら、データ入力や照合作業に関わる負担を軽減するという。

なお2022年11月に公開されたAWSの公式技術記事によると、サスメドの臨床試験システムにはエンタープライズ向けブロックチェーン「ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)」が採用され、運用には「Amazon Managed Blockchain」が活用されている。参加組織を限定したコンソーシアム型の構成となっている。

今回承認された医薬品は「ウエキクス錠5mg/20mg(一般名:ピトリサント塩酸塩)」だ。ヴィアトリス製薬が9月16日に製造販売承認を取得した。対象の効能・効果はナルコレプシーと、持続性陽圧呼吸(CPAP)療法などによる気道閉塞の治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気となる。

同薬では、アキュリスファーマが実施した国内第3相臨床試験にサスメドのシステムが採用された。サスメドは2022年11月にナルコレプシーを対象とする試験、2023年1月に閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気を対象とする試験の開始を発表していた。

サスメドは、規制のサンドボックス制度を通じて同技術の実証を進めてきた。その成果を踏まえ、2020年12月には、グレーゾーン解消制度に基づく厚生労働省の回答により、同システムを適切に運用することで、医療機関を訪問して行うデータ照合作業を代替できることが確認された。

またサスメドによると、日本医療研究開発機構(AMED)の事業で行われた従来の方法との比較検証では、モニタリングの工数が45.9%、医療機関の工数が32.0%減少したという。データの確認・修正依頼などを目的とする問い合わせ件数も46.7%減少したとのこと。

サスメドは、こうした治験の効率化を通じ、新薬開発の生産性向上を目指すとしている。また、海外で使われている医薬品の国内承認が遅れる「ドラッグ・ラグ」や、国内での開発が始まっていない「ドラッグ・ロス」の解決への貢献を図るとのことだ。

参考:サスメドAWS
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。