UAEの国家デジタルID「UAE PASS」、文書保管基盤をアバランチL1へ移行

登録者1,250万人のID基盤、専用L1で文書を検証

アラブ首長国連邦(UAE)の電気通信・デジタル政府規制局(TDRA)が、国家デジタルIDプラットフォーム「UAE PASS(UAEパス)」内の文書保管機能「デジタル・ボールト(Digital Vault)」のブロックチェーン基盤を、アバランチ(Avalanche)へ移行する。この取り組みが9月14日、アバランチの公式ブログで発表された。

アバランチによると、TDRAはドバイを拠点とするコンサルティング企業デカフォー(Deca4)と連携し、デジタル・ボールトへのアバランチ技術の統合を進めているという。

UAE PASSは、UAEの国民や居住者、訪問者が本人確認や電子署名を行い、政府機関や民間企業のオンラインサービスへアクセスするための国家デジタルID基盤だ。TDRAの公式情報によると、登録ユーザー数は1,250万人。アバランチ側の発表では、1万5,000超のサービスが提供され、350超の政府機関と民間企業が利用しているという。

デジタル・ボールトは、利用者が政府機関などが発行する公式文書を請求・保管し、必要とする機関へ共有できる機能だ。ブロックチェーンを用いて、共有された文書の真正性や改ざんの有無を検証する。

TDRAの公式サイトでは、デジタル・ボールトは従来からブロックチェーン基盤で稼働していると説明されている。このため今回の取り組みは、UAE PASSにブロックチェーンを初めて導入するものではなく、既存のブロックチェーン基盤をアバランチへ更新するものとなる。TDRAの2025年1月資料によると、デジタル・ボールトを含む「デジタル・トラスト・プラットフォーム」の従来のブロックチェーン基盤には、企業向けブロックチェーン「クオーラム(Quorum)」が採用されていた。

デジタル・ボールトでは、アバランチの技術を用いた専用ブロックチェーン「アバランチL1(Avalanche L1)」が利用される。アバランチL1は、用途ごとに構築できる専用のL1ブロックチェーンだ。運営者は、ネットワークへの参加者やアクセス権限、構成などを用途に合わせて設定できる。また専用L1では、他のアプリケーションによるネットワーク混雑の影響を受けにくい。

アバランチ側は、専用L1の採用により、利用者数や検証対象となる文書の増加に対応できる拡張性と、安定した処理性能を確保できると説明している。ネットワークへの参加者やアクセス権限、構成は運営者が決定し、TDRAがデジタル・ボールトのエコシステムを監督するという。

なお本稿執筆時点(9月15日15:34)、TDRAの公式サイトでは、アバランチへの移行に関する個別発表は確認できていない。移行の完了時期や運用開始日、文書そのものをオンチェーンに保存するかといった技術仕様も明らかにされていない。

参考:アバランチブログTDRA
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。