アーサー・ヘイズ率いるフロップラボ、AIエージェント向け「Flop Network」の実装仕様公開

Flop Networkの実装仕様を公開

暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)共同創業者のアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏がCEOを務めるフロップラボ(Flop Labs)が、AIエージェント向けネットワーク「フロップネットワーク(Flop Network)」のイエローペーパー(Yellow Paper)v0.5.0の公開を9月10日に発表した。

今回公開されたイエローペーパーは、開発者がフロップネットワークを実装する際に参照する技術仕様書だ。同文書では、ブロックのファイナライズ、AI推論の検証と報酬、ネイティブトークン「FLOP」の発行、ガバナンスなどのプロトコル仕様を定めている。

フロップネットワークは、計算資源を提供するマイナーに対し、AIエージェントがAI推論の対価をFLOPで支払うためのネットワークだ。ここでいうAI推論とは、学習済みのAIモデルに入力を与え、回答や予測などの出力を生成する処理を指す。

同ネットワークでは、AIエージェントがAI推論を依頼し、マイナーがGPUなどの計算資源を使ってAIモデルを実行する。フロップネットワークにおけるマイナーは、一般的なプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)のように暗号資産を採掘するのではなく、AI推論に必要な計算資源を提供する役割を担う。

なお、AI推論の実行検証に用いられるのが、「プルーフ・オブ・ユースフル・インファレンス(Proof of Useful Inference:PoUI)」だ。PoUIは、マイナーが申告したAI推論を実際に行ったことを検証し、その処理と報酬を結び付けるための仕組みとなる。

一方、フロップネットワークのバリデータはAI推論そのものを実行せず、マイナーが提出した証明の検証やブロックの生成・ファイナライズなどを担う。バリデータになるためにGPUや信頼実行環境(Trusted Execution Environment:TEE)は必要ない。

PoUIによる推論の検証では、単一の方法に依存せず、AIモデルの実行状態に関するコミットメントや、抽出した処理の独立した再実行などを組み合わせる。またTEEによる証明も、任意の検証手段として利用できる。不正を行ったマイナーやバリデータは、ステークしたFLOPを減額・没収するスラッシングの対象となる。

FLOPは、AI推論の対価の支払いやステーキングに利用される。また、ブロック報酬として新規発行され、マイナー、バリデータ、AIエージェント、ステーカー向けに配分される設計だ。つまりマイナーは、AI推論の対価に加え、ブロック報酬も受け取れる。

ブロック報酬は当初、1ブロック当たり96 FLOPに設定され、約730日ごとに半減する。5回の半減後は、1ブロック当たり3 FLOPで固定される設計だ。初期の配分割合は、マイナー向けが75%、バリデータ向けが10%、AIエージェント向けが10%、ステーカー向けが5%となる。このうち、マイナー分は検証された計算量に応じて、バリデータ分は原則としてステーク量に応じて配分される。なお、AIエージェント向けとステーカー向けの具体的な配分方法は、現時点で確定していない。

またフロップネットワークは、ブロック生成に「BABE(Blind Assignment for Blockchain Extension)」、ブロックのファイナライズに「アレフBFT(AlephBFT)」を採用する。ブロック生成間隔は1秒に設定されており、資金の支払いやスラッシングなどの不可逆な処理は、ファイナライズされたブロックを基準に実行する。

ネットワークのガバナンスには「オープンガブ(OpenGov)」を採用する。プロトコルの変更案は「FLOPインプルーブメント・プロポーザル(FLOP Improvement Proposal:FIP)」として文書化し、オンチェーンのプロトコルアップグレード投票に紐付ける設計だ。

ただし、今回公開されたイエローペーパーv0.5.0はドラフト版だ。同文書はフロップネットワークが目標とするプロトコルを定義しており、現在のコードベースの実装状況そのものを示すものではない。各仕様が実装済みか、開発中か、設計段階かについては、同文書の付録で別途示されている。

なおヘイズ氏は今年8月、フロップラボのCEOに就任したことを発表していた。同氏によると、FLOPではプレセールやVC向けの事前割り当てを行わず、「100%フェアローンチ」とする方針だ。また同氏は、2026年第4四半期にFLOPのエアドロップを実施する予定だと説明していた。フロップネットワークのジェネシスブロックは、2027年第1四半期に生成される見通しだ。

参考:イエローペーパー
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。