テザー出資のOrionxが閉鎖へ、7Mドル超の保管資産が管理外に移動

一本寿和

出金停止、顧客資産の全額返還は保証できず

ステーブルコイン発行大手テザー(Tether)から出資を受けたチリの暗号資産(仮想通貨)取引所オリオンエックス(Orionx)が、事業の完全閉鎖に向けた手続きを開始したと9月3日に発表した。

テザーは2025年6月3日、オリオンエックスへの戦略的出資を発表し、オリオンエックスのシリーズAラウンドを主導した。出資額は公表されていない。当時の発表では、中南米での事業展開や、ステーブルコインを活用した送金、代金回収、財務管理向けインフラの拡大を支援するとしていた。

オリオンエックスによると、700万ドル(約11億円)超の保管資産が、同社の管理外にあるウォレットへ移動していたことが判明したという。これは、取引記録やオンチェーン上の資産移動などを調べるフォレンジック監査(forensic audit)で確認されたとのことだ。

同社は監査で確認された内容をチリ検察当局に通報し、捜査を求めた。また、9月2日付で2人の元幹部に対する刑事告訴を行った。告訴された両氏は、顧客向けメールで告訴内容を否定している。

同社は顧客への資産返還を最優先課題としている。一方、現時点で全額返還は保証できないとしている。閉鎖・資産返還計画は5段階で構成されており、現在は第1段階を実施中だ。顧客間の公平性を保つため出金を一時停止し、可能な限り多くの資産を迅速、公平かつ秩序立って返還する方針を示している。

同社は、同計画を関係当局に通知したとのこと。一方、チリ金融市場委員会(CMF)は9月4日、オリオンエックスはフィンテック法に基づく登録・認可を受けておらず、CMFの監督対象ではないと説明した。CMFは閉鎖手続きを管理せず、顧客資産の返還を命じる権限もないとしている。

なおCMFは6月19日付で、オリオンエックスによるフィンテック法に基づく登録・認可申請を却下していた。オリオンエックスはそれまで同法の経過措置に基づき営業していたが、却下後は既存取引の終了処理のみ可能だったという。

参考:オリオンエックス
画像:Reuters

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。