ブケレ大統領、エルサルバドルのBTC準備金「民間移管」報道を否定

移管対象は政府系ウォレット「Chivo」、報道元も訂正

エルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領が、同国の暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の戦略的準備金を民間事業者へ移管したとの報道を否定した。ブケレ氏が日本時間9月5日、自身のXで表明した。

発端は、スペイン紙「エル・パイス(El País)」による報道だ。同紙は公式Xで、エルサルバドル政府が国際通貨基金(IMF)との合意に伴い、7,763 BTC超からなる、評価額6億3,200万ドル(約987億円)超の準備金について、「過半数の所有権と管理権」を民間事業者へ移したと伝えていた。

これに対しブケレ氏は、同報道を「完全に誤りだ」と否定。根拠とされたIMFの発表を示し、「移管されたのは『チボ(Chivo)』の株式であり、戦略的ビットコイン準備金ではない」と反論した。

IMFは9月3日、40カ月にわたる拡大信用供与措置(Extended Fund Facility:EFF)の第2次・第3次審査をめぐり、エルサルバドル当局と事務レベル合意に達したと発表した。

同発表でIMFは、政府系電子ウォレット「チボ・ウォレット(Chivo Wallet)」への公的関与が大幅に縮小され、過半数の所有権と運営管理権が民間事業者へ移管されたと説明した。一方、エルサルバドル政府は少数持分と顧客資産の保管責任を維持するという。今回のIMF発表では、移管先の事業者名は明らかにされていない。

またIMFは別項目で、2025年6月27日に完了した第1次審査以降のビットコイン積み増しについて、民間からの寄付によるものであり、公的資金が使われていないことを確認する文書が提出されたと説明した。

今後については、文書で確認された寄付分を超える追加のビットコイン積み増しは見込まれないとの認識を示した。寄付者や寄付額の内訳は、今回の発表では公表されていない。

エル・パイスはその後、記事末尾に訂正文を掲載。初版ではエルサルバドルがビットコイン準備金を民間事業者へ引き渡したと記載していたが、移管されたのはチボ・ウォレットの過半数所有権と運営管理権であり、政府は少数持分を維持すると修正している。

今回の事務レベル合意は、IMF理事会の承認と合意済みの事前措置の完了が条件となる。承認された場合、エルサルバドルは約1億4,000万ドル(約219億円)を受け取る見通しだ。

同国に対するEFFは2025年2月に承認されており、融資枠は総額約14億ドル(約2,187億円)となっている。

なおIMFは2025年12月、政府系電子ウォレット「Chivo」の売却交渉が「大きく進展している」と報告していた。今回の発表により、同ウォレットの過半数所有権と運営管理権が、すでに民間事業者へ移されていることが明らかになった。

参考:IMF
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。