全米保安官協会、暗号資産市場構造法案への反対姿勢撤回し中立に

法案の複雑さと未確定事項を理由に

全米保安官協会(National Sheriffs’ Association:NSA)が、米国の暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「CLARITY Act(クラリティ法案)」への反対姿勢を撤回し、中立の立場に転じた。NSAが9月3日付の米上院指導部宛ての書簡で明らかにした。

NSAは書簡で、クラリティ法案について、これまで十分な規制監督がなかった市場に規制枠組みを構築することを目指すものだと説明。議会や米政権、関係者による取り組みを評価した。

そのうえでNSAは、法案が複雑であり、重要な詳細が引き続き検討されていることを理由に、同法案に対する立場を「中立」に変更すると表明した。

またNSAは現時点で、「一歩引き、明確かつ効果的で、必要とされている規制枠組みを確立するための立法プロセスを進めることが最も適切」だとの考えを示している。

NSAは今年5月13日付の書簡で、クラリティ法案による暗号資産市場の規制枠組み構築そのものには賛同する一方、上院で検討されていた法案について「重大な懸念」を表明していた。

特にNSAは、当時の法案第604条により、暗号資産ミキサーやタンブラー、分散型金融(DeFi)などが、送金事業者に適用される規制から広範に除外される可能性があると主張。こうした規定が、法執行機関による暗号資産取引の追跡や犯罪被害者の資金回収を困難にする可能性があると指摘していた。

またNSAは当時、送金業務に従事せず、銀行秘密法(BSA)上の規制対象とすべきでないソフトウェア開発者がいることは認めつつ、ミキサーやタンブラー、DeFiを含み得る広範な適用除外には反対していた。

NSAはその後も、7月31日付の書簡で、法案には法執行と公共安全上の重大なリスクがあるとして、上院での採決前に修正するよう求めていた。

米暗号資産メディア「CoinDesk」は、NSAについて、クラリティ法案を特に強く批判してきた法執行関係団体のひとつだったと説明している。今回の変更により、法案に反対してきた主要団体のひとつが反対陣営から外れたことになる。

なお米上院では9月15日、クラリティ法案の本会議審議入り動議に対する討論終結動議の採決が予定されている。これは法案そのものの可否を決める最終採決ではなく、本会議での審議入りに向けた手続き上の採決となる。

参考:書簡書簡報道
画像:istocks/Lubo-Ivanko・Rawpixel

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者