スタンダードチャータードとHSBC、Swift台帳で初の銀行間トークン化預金取引を本番実施

Swift台帳で初の銀行間本番取引

英銀行大手スタンダードチャータード(Standard Chartered)とHSBC(HSBC)が、金融メッセージングネットワーク「スウィフト(Swift)」のブロックチェーン基盤台帳を利用した初の銀行間本番クロスボーダー取引を実施したと8月19日に発表した。今回の取引では、両行によるトークン化預金の相互運用が実現したとのこと。

スウィフトは、世界200以上の国・地域の金融機関が国際送金などで利用する金融メッセージングネットワークだ。今年7月には、トークン化預金を利用した本番取引に対応するブロックチェーン基盤台帳が初期利用可能な状態になったことを明らかにしていた。今回の取引は、その台帳上で実施された初の銀行間本番取引となる。

今回の取引では、両行がスウィフトのブロックチェーン基盤台帳を介して決済メッセージを交換した。その結果生じた債務は、HSBCが提供するトークナイズド・デポジット・サービス(Tokenised Deposit Service:TDS)と、スタンダードチャータードのトークン化預金基盤の双方に、それぞれトークン化預金債務として記録されたとのことだ。

トークン化預金とは、銀行預金をブロックチェーンで利用できるようトークン化した預金を指す。銀行が発行・管理するデジタルマネーとして、24時間365日の決済やクロスボーダー送金への活用が期待されている。

これまでトークン化預金は、各銀行が自らの台帳上で発行・管理する形で整備が進められてきた。一方、異なる金融機関同士で相互運用する仕組みは課題の一つとなっていた。今回の取引では、スウィフトのブロックチェーン基盤台帳を介して両行のトークン化預金基盤を接続し、銀行間で相互運用できることを示した。

なお、スウィフトがトークン化預金を発行したわけではない。同社のブロックチェーン基盤台帳は、銀行間で生じた債務を照合・相殺するオーケストレーション層として機能し、その後の最終決済は既存の決済システムを通じて行われたとのことだ。

24時間決済に向け実用化を推進

スウィフトは今年7月、6大陸の17行が、同社のブロックチェーン基盤台帳を利用したトークン化預金による実取引の試行に向けて準備を進めていることを公表していた。目的は、24時間365日のクロスボーダー決済への対応や、流動性管理の効率化だ。今回の取引は、その取り組みの中で実施された初の銀行間本番取引となる。

HSBCは今回の取引について、銀行が発行するデジタルマネーを、既存の金融システムにおける規制監督や健全性を維持したまま、異なる金融機関間で相互運用できることを示したと説明した。また、企業にとっては、複数の金融機関をまたいだ流動性管理や資金の可視化、クロスボーダー決済の効率化につながる可能性があるとのことだ。

スタンダードチャータードは、トークン化預金を同社のデジタル資産戦略の重要な柱と位置付けている。また、顧客が国境を越えてトークン化された流動性や価値を取引、決済、管理できるエンドツーエンドのソリューション構築を目指す考えを示した。

なお、HSBCが提供するトークナイズド・デポジット・サービス(TDS)は現在、香港、シンガポール、ルクセンブルク、英国、米国、アラブ首長国連邦(UAE)の6市場で提供されているとのことだ。

参考:スタンダードチャータード
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。