ブラジル中銀、一部の暗号資産送金を最大24時間保留へ

国外事業者やセルフカストディ向け送金が対象

ブラジル中央銀行(Banco Central do Brasil:BCB)が、決済サービス向けの詐欺防止規制を暗号資産(仮想通貨)サービスへ拡張する「BCB決議第584号」を8月7日に公布した。これにより、国外の暗号資産サービス事業者やセルフカストディ型ウォレットへの一定の暗号資産移転について、最大24時間の予防的な保留措置が導入される。施行は2027年1月1日を予定している。

保留措置の対象となるのは、対象事業者が、国外で設立され、暗号資産市場で活動する事業者、またはセルフカストディ型ウォレットへの暗号資産移転を行う場合だ。セルフカストディ型ウォレットとは、暗号資産の秘密鍵を利用者自身が管理するウォレットを指す。対象には、ビットコインなどの暗号資産に加え、法定通貨を参照するステーブルコインも含まれる。

今回の保留措置について、BCB決議では「専ら予防的な性格」のものと位置付けている。事業者は、対象となる移転について、顧客の入金に使用された資金を受領してから最大24時間、保留措置を講じる。また、事業者は根拠のある判断に基づき、24時間の期限前に保留措置を解除できる。

保留措置は、対象取引の金額が1件、または同一顧客名義による同一日の取引総額で1万米ドル相当を超える場合に適用される。また、この金額以下であっても、事業者のリスク管理基準に基づき追加の分析が必要と判断された場合は、保留措置の対象となる。

事業者は、保留措置を講じた場合、その事実や適用期間などを利用者へ通知する必要がある。また、24時間の終了時点までに移転を実行するか拒否するかを判断しなければならない。24時間より前に保留措置を解除する場合は、その判断内容や理由、適用したリスク管理基準などを記録することが求められる。

暗号資産規制整備の一環

今回の決議は、2021年に制定された「BCB決議第142号」を改正し、これまで決済サービスを対象としていた詐欺防止の手続きや管理体制を暗号資産サービスにも拡張するものだ。対象には、ブラジル中央銀行の暗号資産規制に基づく移行期間中の暗号資産サービス事業者も含まれる。

ブラジルでは2025年に、暗号資産サービス事業者(SPSAV)の認可手続きや設立・運営、サービス提供などを定める規制を公表した。このうち「BCB決議第520号」は2026年2月2日に施行されている。今回の決議は、こうした暗号資産市場の制度整備を進める中で、詐欺防止に関する手続きや管理体制を暗号資産サービスにも適用するものとなる。

また今回の改正では、事業者に対し、暗号資産サービスに関連する詐欺や詐欺未遂、および講じた是正措置について日次で記録を保存することも義務付けた。さらにブラジル中央銀行は、同決議への不遵守が確認された場合、特定の事業者または事業者群に対し、24時間を超える保留期間の適用や、1万米ドル相当未満の取引への保留手続きの適用、24時間前に保留を解除する権限の制限などを命じることもできる。

参考:gov.br 
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。