サークル、独自L1「Arc」の創設バリデーター公開、ブラックロックやVisaなど参加

9月16日のメインネット公開へ

米サークルインターネットグループ(Circle Internet Group)が、同社開発のレイヤー1ブロックチェーン「アーク(Arc)」の創設バリデーターと主要金融機関による統合検討について8月5日に発表した。一般向けメインネットは今年9月16日に公開される予定だ。

アークは、サークル発行の米ドル建てステーブルコイン「USDC」を中心に、トークン化資産や金融サービスを扱うために開発されたレイヤー1ブロックチェーンだ。金融市場やリアルタイムの資金移動、AIエージェントによる経済活動向けに設計されており、現在は100を超えるエコシステム参加者や機関向け事業者が参加するプライベートメインネットで運用されている。

今回の発表では、メインネット公開に向けた創設バリデーターの公開に加え、主要金融機関によるアークとの統合検討も明らかになった。ブラックロック(BlackRock)、BNY、デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)が、トークン化資産の決済やデジタル資産のカストディ、ステーブルコインへのアクセス、外国為替(FX)、レポ取引などに関する統合の構築・検討をそれぞれ進めている

創設バリデーターを公開

サークルは、アークの創設バリデーターとして以下の企業・組織が参加すると発表した。

  •  サークル(Circle)
  •  ブラックロック(BlackRock)
  •  デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)
  •  ギャラクシー(Galaxy)
  •  グローバル・ペイメンツ(Global Payments)
  •  インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange:ICE)
  •  マスターカード(Mastercard)
  •  マネーグラム(MoneyGram)
  •  SBIグループ(SBI Group)
  •  スタンダードチャータード(Standard Chartered)
  •  住友商事(Sumitomo Corporation)
  •  ビザ(Visa)

バリデーターは、ブロックチェーンの取引検証やネットワーク運営を担う参加者だ。今回は金融機関や決済企業などがネットワークを利用するだけでなく、その安全性を支える役割も担う点が特徴となる。

サークルは今回の創設バリデーター体制について、アーク上でサービスを構築する金融機関などが、ネットワークの利用者であると同時に、その運営にも参加する新たなオンチェーンインフラのモデルだと説明している。また、世界各地の事業者がネットワーク運営に参加することで、安全性と拡張性を備えたオンチェーン金融アプリケーションを支える基盤になると説明している。

ブラックロックは、現金や米国債、レポ取引などへ投資する機関投資家向けトークン化ファンド「BUIDL(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)」をアークへ展開する見込みだ。BUIDLでは、アークにネイティブ統合される米ドル建てステーブルコイン「USDC」を活用できるようになる予定だ。これにより、機関投資家は単一のオンチェーン環境でファンドへの申し込みや償還、ファンド資産の活用を行えるようになるとのこと。

またサークルはDTCCと協力し、DTCC傘下のデポジトリー・トラスト・カンパニー(Depository Trust Company:DTC)が保管する資産を2027年後半からアークでトークン化できるようにする計画だ。DTCCは、米国証券市場で証券の保管や清算・決済を担う市場インフラ企業だ。市場参加者はDTCがトークン化した資産を対象に、アークの第三者アプリケーションを利用できるようになる見込みだ。

なお、一般向けメインネットの公開時には、アーベ(Aave)、モルフォ(Morpho)、ユニスワップ(Uniswap)などのDeFiプロトコルに加え、レイン(Rain)、チューンズ(Thunes)、ワイレックス(Wirex)などの決済サービス、バイナンス・ウォレット(Binance Wallet)、ファイアブロックス(Fireblocks)、クラーケン(Kraken)、レジャー(Ledger)、メタマスク(MetaMask)などのウォレット・インフラサービスも提供される予定だ。

Circleは第2四半期決算も発表

あわせてサークルは、2026年第2四半期決算も8月5日に発表した。

決算によると、第2四半期の総収益および準備金収益は7億100万ドル(約1,106億円)となり、前年同期比7%増加した。また、第2四半期末時点のUSDC流通額は733億ドル(約11.56兆円)で前年同期比19%増加し、USDCのオンチェーン取引量は14.8兆ドル(約2,334兆円)となり、前年同期比151%増加した。

またサークルが米証券取引委員会(SEC)へ提出した四半期報告書によると、アークのパブリックテストネットでは、2025年10月の公開から今年6月30日までに累計5億200万件のトランザクションが処理されたとのこと。さらに、サークル・ペイメント・ネットワーク(Circle Payments Network:CPN)の第2四半期末までの直近30日間を基にした年換算取引額は147億ドル(約2.32兆円)となり、前四半期比76%増加した。CPNは、金融機関同士がステーブルコインを利用して国際送金や決済を行うためのネットワークだ。

サークル共同創業者兼CEO兼会長のジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は、米通貨監督庁(OCC)による国法信託銀行「サークル・ナショナル・トラスト(Circle National Trust)」設立認可の取得や、アークのメインネット公開、AIエージェント向け基盤「サークル・エージェント・スタック(Circle Agent Stack)」の展開などを挙げた。そのうえで、サークルは伝統金融やデジタル金融、現実資産(RWA)を支える「インターネット金融システム(The internet financial system)」のプラットフォームを構築してきたと述べている。

参考:サークル決算発表
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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