豪eセーフティー、テレグラム関連2社を連邦裁に提訴。テロ促進・支持素材への対応不備を主張

eSafetyがTelegram関連2社を連邦裁に提訴

オーストラリアのオンライン安全規制当局eセーフティー(eSafety)が、メッセージングサービス「テレグラム(Telegram)」をめぐり、オーストラリア連邦裁判所で民事制裁手続きを開始したと7月30日に発表した。

相手方は、ドバイに登録事務所を置くテレグラムFZ(Telegram FZ-LLC)と、英領ヴァージン諸島に登録事務所を置くテレグラムメッセンジャー(Telegram Messenger Inc)の2社。訴状は7月29日に提出され、同日受理された。

eセーフティーは、両社の一方または双方がテレグラムの提供者に当たり、テロを促進・支持する素材の検知・削除や、利用者からの通報への対応を適切に行わなかったとしている。問題となった素材には、テロリストによる処刑映像や銃乱射事件の動画が含まれるという。

約1年間の調査を経て、eセーフティーは、両社の一方または双方が業界基準「Online Safety(Relevant Electronic Services—Class 1A and Class 1B Material)Industry Standard 2024」に基づく義務に違反したと主張している。同基準は、メッセージングサービスなどに対し、違法素材の拡散防止や検知、抑止、妨害などの措置を求めている。

訴状によると、オーストラリア国内のテレグラム利用者は2025年9月27日から10月5日までに、「クラス1Aマテリアル(Class 1A material)」をアプリ内機能を通じて12件通報した。クラス1Aマテリアルには、児童性的搾取素材やテロ促進・支持素材、極端な犯罪・暴力素材などが含まれる。

このうち10件は通報後も速やかに削除されず、一部は最長約3週間にわたって閲覧可能だったという。また、素材が掲載されたチャンネルやグループの削除、関連アカウントの削除または停止など、将来の違反リスクを抑える措置も十分に講じられなかったという。

さらに、2019年のクライストチャーチ・モスク銃撃事件のライブ配信映像や、2022年5月の米ニューヨーク州バッファロー銃撃事件に関係する既知のテロ促進・支持素材についても、テレグラムへのアップロードから削除まで約3カ月を要したという。

このほか、テロ促進・支持素材の流通を効果的に妨害・抑止せず、10件の通報に対して適切かつ適時の調査を行わなかったとされる。また、テロ促進・支持素材へのアクセスや配布を禁じる規定を、テレグラムの全機能に適用していなかったとも主張されている。12件すべてについて、通報者への対応結果の通知も行われなかったという。

法人による違反には、1件につき最大5,460万豪ドル(約61.5億円)の民事制裁金が科される可能性があるという。

なお、テレグラムを巡ってはロシア連邦保安庁(FSB)が7月29日、共同創業者パベル・ドゥロフ(Pavel Durov)氏をテロ活動支援容疑で訴追したと発表した。

FSBは、ウクライナの情報機関や国際的なテロ・過激派組織が利用するとされる多数のチャンネル、チャット、ボットをテレグラム側が削除しなかったと主張している。FSBはドゥロフ氏を国際指名手配したと発表している。

また、ロシア連邦金融監視局(Rosfinmonitoring)は7月30日、ドゥロフ氏を「テロリスト・過激派」リストに追加した。

テレグラムは報道機関に対し、eセーフティーの主張を否定し、法廷で争うと回答した。テレグラムは公式サイトで、利用者からの通報と機械学習による能動的な監視を組み合わせ、テロ関連コンテンツに対応していると説明している。

参考:eセーフティー
画像:PIXTA

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。