購入リンクの生成から、AIによる取引実行へ
暗号資産(仮想通貨)決済インフラ企業のムーンペイ(MoonPay)が、ChatGPTおよびClaude向けのAI決済保管庫「ペイボックス(PayBox)」を提供開始したと7月29日に発表した。同機能により、ユーザーは自然言語で指示を出し、暗号資産の取引や資産移動、オンライン決済などをAIとの会話画面から実行できる。
ムーンペイは今年5月、チャットGPT(ChatGPT)向けアプリの提供を開始していた。同アプリでは、チャットGPT上で暗号資産の購入内容を入力すると、ムーンペイのチェックアウトページへ移動するリンクが生成される。ただし、実際の購入手続きは、ユーザーがリンク先で進める必要があった。
これに対し、今回提供開始されたペイボックスでは、AIが担う範囲が取引の準備に加え、ユーザーが設定した権限に基づく実行まで広がった。ユーザーがペイボックスをチャットGPTまたはクロード(Claude)へ接続すると、AIが自然言語による指示に基づいて取引を準備する。その後、ユーザーが選択した権限設定に従って、暗号資産の交換や資産移動、決済などが実行されるとのことだ。
例えば、「100ドルをPYUSDへオンランプする」、「100ドル相当のPYUSDをSOLへ交換する」、「ロビンフッド・チェーン(Robinhood Chain)へ資産を移動する」、「分散型金融(DeFi)プロトコル『アーベ(Aave)』で利回りを最大化する」といった指示に対応する。また、航空券やレストランの予約、主要オンライン小売店での買い物にも対応するという。
オンランプとは、法定通貨で暗号資産を購入する手続きのこと。また、異なるブロックチェーン間で資産を移動するブリッジや、DeFiの利用、オンライン決済も会話画面から実行できる。
5月に提供開始されたチャットGPT向けアプリでは、AIが購入ページへの入口を用意していた。一方、ペイボックスでは、ユーザーの承認を前提として、AIが取引の準備から資産移動や決済まで担えるようになった。
一方で、AIが資産を扱うようになれば、不正利用や誤操作による資産流出も懸念される。ペイボックスは、ユーザーが資産の管理権限を保持したまま、AIへ限定的な実行権限を与えられるよう設計されているとのことだ。
ペイボックスでは、決済カード情報をAIへ開示しない。また、暗号資産ウォレットの秘密鍵は、マルチパーティ計算(MPC)と信頼実行環境(TEE)によって保護される。MPCは秘密鍵に関する情報を複数に分けて管理する技術で、TEEは外部から隔離された環境で処理を実行する仕組みだ。
これにより、ムーンペイやAIエージェントを含む単独の当事者は、秘密鍵全体へアクセスしたり、単独で取引へ署名したりできないとのことだ。
ユーザーはAIへ与える権限を2種類から選択できる。「オールウェイズ・アスク(Always Ask)」では、取引ごとにユーザーの承認が必要となる。「オートノマス(Autonomous)」では、ユーザーが事前に設定した制限の範囲内で、AIが自律的に取引を実行する。権限を変更する際にも、ユーザーによるパスキー認証が必要となる。また、各承認は1回の操作にのみ有効で、別の取引には再利用できないとのことだ。
対応ネットワークには、ソラナ(Solana)、イーサリアム(Ethereum)、ハイパーリキッド(Hyperliquid)、テンポ(Tempo)、ベース(Base)、ロビンフッド・チェーン、アービトラム(Arbitrum)、ポリゴン(Polygon)などが含まれる。
なお、ペイボックスは、AIエージェント向け決済規格「x402」にも対応する。今後は、DeFiでのスワップ経路の選択や無期限先物取引、流動性管理などにも対応範囲を広げる予定とのことだ。
every Claude and ChatGPT user now has the power to trade anything on @solana by having a conversation
— MoonPay (@moonpay) July 29, 2026
welcome to PayBox, the payment vault and non-custodial wallet that lets AI Agents securely transact across the open internet
prompt, approve, pay: https://t.co/isCEzCNoC6 pic.twitter.com/H4bnenMnEn
参考:プレスリリース
画像:PIXTA